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男子テニスを率いる主要団体、男子プロテニス協会(ATP)は、21歳以下の若手有望選手のための「NextGen」シリーズの大会で自動ライン判定を使用し、この試みが成功したと考えていた。ただ、同団体が自動ライン判定を他の大会で使用することを許可することになったきっかけは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)だ。

それでも、自動ライン判定の広範な活用を妨げるかもしれない要素はいくつかある。ジョコビッチも指摘したコスト面は、一部の水準の試合では自動ライン判定活用の障壁になるものの、技術の価格は今後下がる可能性が高いし、スタッフの経費が減ることでコストが相殺される可能性もある。

トップレベルの試合では、正確性が最大の懸念事項となる可能性が高い。ホークアイは選手の判定見直しシステムを通し、審判と(大半の)選手から信頼を得ることができたが、判定が見直される前の全ての決定には人間的要素が関わっていることを指摘しておく価値がある。

線審を技術で置き換えることがテニスというスポーツに与える最も大きな影響は、おそらく文化的なものだろう。テニスに線審が必要なくなれば、将来の審判は数千人のファンや2人の選手(けんか腰で接してくるかもしれない)を前に大きな判定を下す経験を、どのようにして得ることができるのだろう?

この問題はこれまで何度も話題に上がっている。私は2018年のワールドツアー・ファイナルズで、ATP主審のアリ・ニリにこの点を尋ねた。ニリは、2015年のウィンブルドン選手権と2016年の全米オープンで男子シングルス決勝戦の審判を務めた人物だ。

ニリは「悪い判定を排除する技術があれば、それは素晴らしいことだ」と述べつつ、「しかし別の考え方をすると、テニスは一つの業界で、(自動化は)大きな変化だ。私たちは、どのようにして新たな世代の審判を生み出すのだろう? 私は線審から始めた。若い審判はどのように機会を得ることができるのだろう?」と疑問を呈した。

翻訳・編集=出田静

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