食卓のニューノーマル? コロナ禍で「オートミール」の人気が爆発したワケ

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消毒液やマスクなど、新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間中に売り切れが相次いだものは少なくない。そんな生活必需品とともに、少し変わったものが品薄になった──「オートミール」だ。

日経POS情報によると、今年の3月には7割近くあったオートミールの店頭カバー率は、6月には5割まで減少。通販サイトでは通常より割高で販売するところもあり、SNSではオートミールが手に入らないと嘆く声が多くあがった。

販売実績を見ても、その爆発的な人気が分かる。外出自粛が呼びかけられ始めた今年の3月には、前年比111.2%増を記録。その後も、緊急事態宣言が発令された4月には201.6%、5月も192.4%と、3桁の伸びが続いた。

自粛期間が明けた現在では、そんな「非常事態」は解消されているが、Amazonによる「シリアル売れ筋ランキング」の上位に、オートミール商品が常にランクインしていることから、今でもその人気は下火になっていないことがうかがえる。

海外で古くから朝食の定番として親しまれてきたが、日本ではあまり馴染みがないように思えるオートミール。なぜコロナをきっかけに、これほどまで注目が集まったのか。

太りにくい「低GI食品」。食物繊維は白米の19倍も


オートミールとは、その名の通りオーツ麦(燕麦)が原料。殻を取り除いたり、平たく押し潰したりすることで、食べやすく加工したシリアルの一種だ。同じシリアルで人気の高いグラノーラの主原料でもある。

オートミールの注目すべきところは、その栄養価の高さにある。玄米と同じ、外皮を残したまま加工された全粒穀物食であるため、タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルを豊富に含む。

特に食物繊維は、文部科学省の成分表データによると、玄米の約3倍、白米の約19倍。白米にはほとんど含まれていない、水溶性食物繊維の「βグルカン」を多く含むのも特徴だ。糖質やコレステロールの改善に効果が見込め、腸内環境の改善や、生活習慣病の予防なども期待できる。

また、オートミールは炭水化物が分解され、糖分に変わるまでのスピードが遅い「低GI食品」としても名高い。急激な血糖値の上昇を抑え、脂肪をつくるインスリンの分泌を少なくする働きが、ダイエット効果につながるとも考えられる。

そんな完璧なヘルシー食品に思えるオートミールだが、実は100gあたりのカロリーや脂質は、他の炭水化物より高い。しかし、オートミールの脂質の大半を占めているのは、体脂肪に変わりづらい不飽和脂肪酸だ。また、オートミールは水や牛乳でふやかしたり、他の食材と混ぜたりして食べることが多いため、一食あたりを少量で済ませることができる。つまり、食べ過ぎなければ、結果的に低カロリーを維持できるということだ。
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文=大竹初奈、石塚有紗 編集=松崎美和子

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