食卓のニューノーマル? コロナ禍で「オートミール」の人気が爆発したワケ

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インフルエンサーの「定番食」


コロナ自粛のタイミングで人気が急上昇した背景には、「おうち時間」の増加も大きいだろう。外出自粛の長期化によって、健康への配慮が高まった。

「コロナ太り」という言葉が示すように、外出を控える生活や、ジムの閉鎖により、運動不足や体重増加が気になった人は少なくないだろう。ショップジャパンの調査では、2020年6月の時点で、コロナ流行前と比較し「運動不足になった」と回答した人は61.7%、「太った」と回答した人が35.9%にものぼった。

自宅にいながらも、手軽に運動や健康的な生活をしたい。そんなおこもり生活の需要に答えたのが、自宅で簡単にできるエクササイズをSNSで紹介するインフルエンサーたちだ。YouTubeによると、運動器具がなくてもできる「自宅エクササイズ」動画の平均視聴回数は、3月後半から200%以上増加したという。そんなインフルエンサーの多くが食生活に取り入れていたのが、オートミールだったのだ。

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インフルエンサーのオートミールを取り入れた食生活は、手軽に真似できると注目を集めた(Getty Images)

お笑い芸人で体づくりの知識を持つなかやまきんに君は、オートミールを使用したオリジナル「筋肉飯」3品を紹介する動画をアップ。視聴回数は69万回以上(2020年10月23日現在)にのぼる。

他にも、ダンスエクササイズ動画で177万人以上(2020年10月23日現在)のチャンネル登録者を誇るMarina Takewakiなど、コロナ禍で注目されたインフルエンサーがオートミールを食事にとりいれる様子を次々にSNSに投稿したことで、「手軽に真似ができる」と人気が爆発したと考えられる。

自粛生活によって自炊をする機会が増えたことも、理由のひとつかもしれない。

水や牛乳で煮たポリッジや、シリアルとして食べる印象が強いオートミールだが、実は米や小麦粉の代用品として使うことで、簡単にアレンジ料理を生み出すことができる。クックパッドには現在、リゾットやパンケーキなど洋風のものから、雑炊やお好み焼きといった和食まで、オートミールを使ったレシピが6700品以上(2020年10月23日現在)登録されている。

長引く自粛生活で献立もマンネリ化するなか、レパートリーが多く、健康的な食事を実現できるオートミールが重宝されたのだろう。

また、自粛期間中にお菓子作りが流行ったことも、オートミール需要をさらに高めた。小麦粉やパンケーキミックスなどが売り切れ状態となるなか、健康に気遣いしつつ、お菓子作りに挑戦できる製菓材料として、オートミールに注目が集まったと考えられる。

おこもり生活も開け、ウィズコロナの新生活が定着しつつあるなか、空前のオートミール・ブームが今後も続くかは未知数だ。オートミールが日本の食卓の「ニューノーマル」になる日が来るかもしれない。

文=大竹初奈、石塚有紗 編集=松崎美和子

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