Quibiはさらに、広告にも巨額の費用を注ぎ込み、6カ月の運営期間中に少なくとも6300万ドルの費用をテレビやウェブ、雑誌などに投入したと調査会社メディアレーダーは分析している。同社の出稿費用はアマゾンプライムやDisney+、Hulu、Peacockらに次いで5番目の規模だったという。
メディアレーダーによると、Quibiの6300万ドルの広告費はスーパーボウルのCMに加え、立ち上げ前の3月と4月のキャンペーンに集中的に投下されていた模様だ。
カッツェンバーグとホイットマンらは社員らに送ったEメールで、Quibiが苦戦した理由の一つに新型コロナウイルスの影響をあげたが、メディアレーダーCEOのトッド・クリゼルマンはこの見方に否定的だ
「パンデミックを受けて多くの人が自宅にこもった結果、消費者がQuibiのような新興サービスを試してみる時間は十分にあった。Disney+は予想以上のスピードで、会員数を伸ばしており、Quibiは競合との戦いに破れたと見るのが正しいだろう。動画ストリーミング分野にはディズニー以外にもアップルやHBO、NBCユニバーサルのPeacockなどがひしめき合っている」
さらに、TikTokやスナップチャット、ユーチューブなどのプラットフォームも消費者の時間を奪い合っている。
一方でメディアアナリストでベンチャー投資家のジョシュ・コンスティンは、Quibiのコンテンツやテクノロジーの欠陥を指摘していた。彼は、Quibiが抱えていた4つの欠点を列挙している。
・旧来のハリウッド的なアプローチ:Quibiはオリジナル作品の監督にスティーブン・スピルバーグなどの大物を起用したが、彼らはモバイルネイティブ世代ではない。
・「共有」を前提としないプラットフォーム:Quibiは著作権保護の観点から当初、ユーザーに一切スクリーンショットを撮らせないスタンスをとっていた。途中から専用ツールでそれを可能にしたが、非常に使い勝手の悪いものだった。ネットフリックスやHuluもスマホではスクリーンショットを撮れないが、ウェブ版では可能になっている。
・コンテンツの表示速度が遅く、検索も使い勝手が悪い。
・視聴はスマホに限定され、テレビ画面に写せない。
残りの資金は投資家に返還
Quibiは当初からスマホでの視聴に特化しており、全てのコンテンツを10分程度にしていた。しかし、現代の若者たちが好むショート動画は、TikTokのような数十秒程度のものだ。10分程度の動画を快適に楽しむためには、やはりテレビのような大画面が適しているのかもしれない。
「私たちは、モバイルファーストのプレミアムコンテンツという、新しいカテゴリを生み出した」と、カッツェンバーグとホイットマンらは声明で述べた。
「それでもQuibiが成功を収めるのは難しかった。その理由としては、1つか2つの原因が考えられる。アイデア自体が、単独の動画ストリーミングサービスを正当化するほど強力では無かったのかもしれないし、タイミングが悪かったのかもしれない」
理由が何であったにせよ、Quibiの終了は決定済みだ。10月22日のFortuneの記事によると、創業者らは残りの資金を投資家らに返金するという。