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「エリエス・ブック・コンサルティング」代表取締役 土井英司

彼女が受講した中には「社長のためのマーケティング力養成講座」もあった。当時、いわゆるOLだった近藤が経営に関するセミナーに参加した理由は、本を書くためではなく、「起業するため」だった。彼女は愛する「片づけ」をビジネスにしたかったのだ。

土井が初対面で近藤から受けた印象は、「小さいけれどガッツがある」。さらにその第一印象に確信を得たのは、その後の「エリエス・ブック・コンサルティング創立5周年記念イベント」でのある出来事だ。

現資生堂代表で、当時日本コカ・コーラ取締役会長を務めていた魚谷雅彦や音楽家のつんく♂も参加し、自身がパネラーとなって行ったこのイベントで、土井は、自らにプレッシャーを課す意味でも「僕のプロデュースで100万部のヒットを飛ばします」と宣言した。

果たしてその直後にステージに駆け寄り、「土井さん、私が最初の100万部をやります」と言ったのが、ほかならぬ近藤だったのだ。

ちなみに著書『「人生の勝率」の高め方 成功を約束する「選択」のレッスン』の中で、土井は「ピンGO、縁GO」という言葉を繰り返している。直感でピン!ときたら、GOする。これだと思う縁があれば「GO」することだ。

こんまりに対して、土井が 「GO」したのは、この時の彼女の言葉がきっかけだった。

「ときめき」は、ある質問に対する答えだった


世界を熱狂させたベストセラー『人生がときめく片づけの魔法』を象徴するキーワードは、言うまでもなく「ときめき」だ。翻訳版では「Spark Joy(喜び、幸福をもたらすもの)」と訳されて、時代を席巻するキラーワードとなった。

実は、この言葉も土井が引き出したものだった。

当初近藤は、「乙女」や「プリンセス」といった言葉を使うつもりでいた。しかし土井は、そもそも「女性」をイメージさせる言葉をキーワードにすれば「ターゲットは半分」になるし、もっといえば女性にも「プリンセス嫌い」は少なくないことをまずは指摘する。「最初から可能性を狭める、潰すワードは絶対NG」とバッサリ切ったのだ。

そして、新たなキラーワードを引き出すため、土井は質問を投げかけ始めた。そして、質疑応答する中で「どうやって捨てるかどうかを決めるのか」という疑問に対する近藤の答えが、「『ときめく』かどうかです」だった。

「それだ!」と土井が直感的に思ったのには理由がある。それは、この言葉の「響きや印象」と、秘められた意味や歴史性とのアンバランスさだ。

「ときめく」という言葉は、現在では、「喜びや期待で胸がわくわくする」といった、きらきら、ふわふわしたニュアンスで使われることが多い。

しかしその語源は、「時勢に乗って栄える」こと、「身分の高い人に寵愛される」ことで、意外にも厳かで重々しい。『源氏物語』の「桐壺」にも、「いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれてときめき給ふありけり」とあるし、英国王室より古い歴史を持つ世界最古のエンペラー、「天皇」を形容する際に使われることもある。「ときめく」は、国際的にも通用する、古式ゆかしい言葉だ。

文=初見 真菜 編集=石井 節子

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