それにトップも聴く耳をもつかどうかも大事ですね。意見やアイディア、チャレンジしようという雰囲気が溢れている状況は、組織がつくらないといけない。個人ではつくれないですからね。
企画を採用するリーダーは、若い世代と同じ感覚をもつことができない分、聴く耳をもたないと、会社として1人1人の発想を生かすことはできないですよね。だからちゃんと若い世代が働けるようにそういう雰囲気にするべきだし、上の世代も自分たちの世代なりの意見を言ったらいいんじゃないかなとも思います。テレビ東京のように「スモール」だと、そういうことはやりやすいのかな。
生活者としての思考を大切に
──さまざまなコンテンツが溢れていく中で、これからのコンテンツに求められることとは、どんなことでしょう?
これは僕なりの解釈ですけど、特にテレビが気にしなければいけないのは、必要とされることです。必要とされる内容でなければならない。
例えば「お笑いって何を伝えているのか?」と考えると、お笑いは「笑える」とか、「くだらない」という感情を教えているんです。例えばフリが最後に回収されて膝を打って納得のいく、みたいな笑いもあるじゃないですか。そういうものを見ないで育った子どもと、見て育った子どもは「くだらない」という言葉の意味が違ってくるんです。
つまり日本人の感性を豊かにするために、いろんな選択肢をテレビは与える必要がある、と僕は考えています。だからバラエティーにはいろんなバリエーションがあるべきだと思うし。自分の子どもたちが、「マツコって何なの?」って少し前に言っていました。マツコ・デラックスという存在を、テレビで伝えた意味は絶対あるんです。そういう存在が必要だったんです、自分たちの感性に。
だからコンテンツプロバイダーという立ち位置になった時は、どんなジャンルにおいても「必要とされているか」を企画に入れ込まないと、テレビマンじゃないと考えています。そしたら僕は何が必要とされているか、いつでも吸収しようとする病気みたいになっちゃいました。
みんなのニーズを紐解いて企画とするには、「これがないからムカつく」とか、「これがあってくれたらいいのに」という生活者としての思考が大事じゃないかなと思います。
何気ない、その人の無防備な時こそが面白いんです。そういう「なんか気になるなぁ」というものをずっとメモってる嫌なやつなんです、僕は。そしてその気になるものをを誰かに投げる。すると相手のリアクションが僕の中に蓄積されていくので、そうやって自分の中でどんどん企画を膨らませていくことができるのです。
──最後に、全国の「スモール・ジャイアンツ」に向けてメッセージをお願いします。
「1%の天才」という言葉の自分なりの解釈は、正直さです。自分の中に1%の天才の部分があるとすれば、人の良いところを認める勇気とか、それを素直に褒められるとか、そういう所だと思います。これは実は誰でもできることですが、多くの人が途中でやめてしまうこと。
そういう人々が正直さを失ってしまう社会とか、そういう発想が生まれてこない背景には、たぶん取り繕う大人の姿があって、それがとにかく邪魔しているのだと思うんです。僕は、発想そのままに行動していくことを失わずにいった方がいいんじゃないかなと思います。それを自らの切っ先にしないと勝負にならないんじゃないかな。もちろん、ただのサラリーマンの意見ですけど。
「スモール・ジャイアンツ アワード2021」は10月29日に第二ブロック(関西・中国・四国)大会を開催。特別セッションには、大阪が誇るスーパー公務員、八尾市経済環境部産業政策課係長の松尾泰貴氏が登壇する。イベント視聴の申込みはこちらから。