キャリア・教育

2020.10.23 12:00

ニーマン・マーカスCEOの事例から考える、「リーダーのEQ」

ニーマン・マーカスのジェフロイ・ヴァン・ラムドンクCEO(左、Getty Images)

リーダーシップをめぐる議論は、そこらじゅうで行われている。誰もが、なんらかの意見を持っている。

リーダーシップについて考えるときに、あなたならどんなことが思い浮かぶだろうか。たいていの人はきっと、ビジョンや知性、集中力、誠実さを思い浮かべるだろう。筆者の個人的な「リーダーシップの特性リスト」では、決断力と実行力が上位につけている。だが、謙虚さはどうだろうか? 謙虚になれる能力は、数あるリーダーシップの特性のなかで、どのあたりのランクになるのだろうか?

古代ギリシャのソクラテスに言わせれば、謙虚さは最も重要な特性だ。「ソクラテスによれば、知恵とは、みずからの無知を知ることにある。ゆえにソクラテスにとって、知に関する謙虚さは、自らの人生や行動を厳密かつ謙虚なやり方で検証しようとする意欲とともに、もっとも重要性の高い美徳であったのではないだろうか」

現代では、謙虚さはしばしば、「心の知能指数(EQ)」の説明のなかに登場する。EQの概念は、1995年に刊行されたダニエル・ゴールマンの著書『EQ~こころの知能指数』(邦訳:講談社1996年)によって世間に知られるようになった。

ゴールマンによればEQは、自己認識、自己抑制、ソーシャルスキル、共感性、動機付けで構成されるという。EQの中核をなすのは、EQはIQよりも重要になりうるという考え方だ。人生の成功に関しては、EQのほうがIQよりも正確な予測因子になると主張する人は多い。

過去6カ月か7カ月のあいだ、世界のリーダーたちは、これまで想像もできなかった形の試練に直面している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界を揺るがすなかで、2020年は、控えめに言っても対立とカオスの年になっている。こうした状況の中では、人々は自らを、傷つきやすく、リスクにさらされた無防備な存在だと感じがちであり、その結果としてリーダーに、導きや知恵、目指すべき方向を求めるようになる。

私たちはリーダーに、「リード」してくれることを求めるのだ。そして、そうしたリーダーシップには、自己認識や共感力、そして言うまでもなく、謙虚さが含まれる。

テキサス州で発行されている「Paper City」という雑誌に掲載された、とある記事が不評を買ったのは、こうした状況が関係しているのだろう。この雑誌の9月号では、高級百貨店ニーマン・マーカスのジェフロイ・ヴァン・ラムドンクCEOが11ページにわたって特集されており、18世紀の中国の皿であふれかえる数百万ドルの自宅も紹介されている。さらに、記者が「農家の小屋というよりはベルサイユ宮殿に近い」と表現した、凝りに凝った鶏舎も紹介されている。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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