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2020.10.26 16:00

挑戦するクルマ、そして挑戦する男たちが走り、語る。「John Cooper Works Member's Club for the game changers」が開催

圧倒的な弱者だと思われていた存在が、その世界に君臨する王者を圧倒し、勝利する。そんな伝説を持つ名車が現代にもあることをご存知だろうか。走りを極めた最高峰のMINI、John Cooper Works。そのヒストリーと哲学に共鳴する現代のベンチャー企業を率いるビジネスリーダーが軽井沢に集い、体験したその走りに受けた刺激と自らの挑戦を語り合った。


時代を超えて響き合う情熱というものがある。ことに映画や小説でわれわれはそれに触れ、心を熱くするものだ。しかし、情熱的なストーリーを持ち、かつ現在でも街を走っているクルマは?というとなかなか見つからない。その点では「John Cooper Works」と名付けられた、MINIの最高峰グレードのシリーズは稀有な存在といえる。



「John Cooper Works」の物語が、どうして現代のビジネスリーダーと繋がるのか?ここで一度、時計の針をぐるぐると巻き戻して1943年まで遡ることにしよう。

逆境に挑んだジョン・クーパー


レーシングカーを修理する工場を経営していた父とともに、“クーパー・カー・カンパニー”を立ち上げたジョン・クーパーはレースの世界へと挑む。そして1950年代以降には彼ら親子が作ったレーシングカーがF1を席巻。彼らが作る車の速さの理由は、当時運転席の前に置かれることが当たり前だったエンジンを、運転席の後ろに配置したこと。ミッドシップレイアウトの採用という技術革新を叶えたことだった。

また、ジョン・クーパーは市販車をベースにしたレースにおいても慧眼を発揮する。1959年に発売された初代Classic Miniは大人が4人乗れるコンパクトカーとして開発されたが、ジョン・クーパーは、試作段階から重心が低く旋回性能に優れるClassic Miniのポテンシャルに注目し、改造を施してレースに挑戦することを決める。


試乗車には、John Cooper Worksから、3 Door、Convertible、ClubmanそしてCrossoverの4車種計6台を用意した。

誰もが「ファミリーカーのMiniがレースで勝てるわけがないじゃないか」と懐疑の眼差しを向け、新聞でもジョン・クーパーの挑戦には冷ややかな論調の記事が掲載された。しかし実際には、圧倒的な弱者だと思われていたClassic Miniは強豪を圧倒。モンテカルロ・ラリーで何度も総合優勝を果たした。

すでに強豪が揃うレースの世界で突破口を見出した力。成功の勝ち筋を信じて突き進んだ折れない心。そしてレースで磨いた性能を市販車に還元し、車の進化に貢献。そんな偉業を成し遂げたジョン・クーパーの哲学を受け継ぐのが、「走りを極めた最高峰のMINI」である「John Cooper Works」であり、この精神こそ自らが事業をおこし、そして成功へと挑むビジネスリーダーたちとの共通項だ。


会場は2020年夏にオープンした、TWIN-LINE HOTEL KARUIZAWA JAPAN。

日本や世界、そして未来を切り開くリーダーを応援する「Forbes JAPAN」と、John Cooper Worksに込められた想いが交差し、ジョン・クーパーのDNAを現代に体現する挑戦者の集うコミュニティとしての「John Cooper Works Member’s Club for the game changers」が発足したというわけだ。

John Cooper Worksのパフォーマンスを体験


このコミュニティの会員として選ばれたビジネスリーダーは、Juwwa代表取締役の奥村慶太、KICONIA WORKS代表取締役の書上(しょがみ)拓郎、トラジェクトリー代表取締役の小関(こせき)賢次、ポーラスター・スペース代表取締役の中村隆洋、SEQSENSE代表取締役CEOの中村壮一郎、そしてRevComm代表取締役の會田武史の6名。

期待とともにJohn Cooper Worksに乗り込んだ参加者たちを迎える軽井沢は、あいにくの雨。市街地を抜け、急勾配や小さいコーナーが連続する峠道や長い直線が組み込まれた試乗コースを、水煙をたてながら走り抜ける。



自律移動のロボットの製造開発をしているSEQSENSEの中村壮一郎は、普段は自身が所有するEVに乗っているという。そんな中村は「ターボエンジンがガンっと力を出す感覚はやはり体験として面白いなと感じました」と語る。

SEQSENSEで開発する自律移動のロボットは人口減により今後人的リソースが限られると予想される警備の領域に貢献することを考えている。

「ですから、開発の思想は質実剛健。コミュニケーションロボットのような方向に進むことは一切許さないチームです。車でいえば移動することにのみ力を入れるべし、という考え方になります。しかし、John Cooper Worksはもちろん移動手段なのですが、そのうえで運転する楽しみを感じさせてくれた。テクノロジーを追求するなかに、人々にとっての楽しみという部分を含めるとこうなる。自分が取り組んでいる領域との対比を強く感じました」とコメント。



ランチ・そして挑戦者たちの語りの場へ


試乗を終えた参加者たちは、会場となったホセ・ルイス軽井沢でのスペイン料理のランチを堪能。トリュフのスフレトルティージャ、オマール海老のフィデワ(パスタのパエリヤ)など、食材の味をいかした五感を鋭く刺激するメニューを楽しんだ。



そしてここからは、すでにこのJohn Cooper Worksに試乗をし、その魅力と自身のビジネスをForbes JAPANに語ったTENTIALのCEO、中西裕太郎とラントリップ代表取締役の大森英一郎も参加。このふたりのゲストスピーカーの挑戦のストーリーを入り口として、それぞれの挑戦を語り合う時間となった。

TENTIALの中西は、高校生時代にはサッカーでインターハイにも出場しプロを狙える実力を持ちながら狭心症を患いプレイヤーとしての道を断念。やがてスポーツの世界での違う形でのチャレンジとしてベンチャーを創業した。

「ジョン・クーパーの挑戦のストーリーを知り、僕もなにもないところからスポーツというまだまだ閉鎖的な世界へと挑戦したという創業当時のことを思い出しました。スポーツはまだまだ活用できる余力があります。スポーツをきっかけに一般生活者の健康増資につなげることで社会に貢献していきたいと考えています」と話す中西。


左から、Juwwa奥村慶太、RevComm會田武史、そしてポーラスター・スペース中村隆洋。

創業の想いと自らの挑戦を語る中西のスピーチを受けて、学生時代には京都大学でアメリカンフットボール部に所属していたSEQSENSEの中村と、音声解析AI搭載型のクラウドIP電話「MiiTel(ミーテル)」を始めとする、営業ツールを提供するスタートアップ、RevCommの會田が、チームビルディングのなかでのカルチャー作り、そして共有のための方法論としての言語化について会話を重ねる。

AIの導入そして活用のコンサルティングや、アルゴリズム・モデル開発を行うKIKONIA WORKSの書上拓郎からは、テクノロジーの活用という場面において世の中に足りないもの、必要なものを理解することの重要性が語られ、さらに斬新なUIの活用によるオンラインコミュニティ「Juuwa(ジュワ)」を開発、運営するJuwwaの奥村慶太はデジタル技術が発展するなかでなお人間味のあるコミュニケーションが求められているという、情報伝達のあり方を指摘する。


左から、KICONIA WORKS書上拓郎、SEQSENSE中村壮一郎、トラジェクトリー小関賢次。

ビジネスを運営する上で、自社の取り組みを社会にコネクトするためのメソッドは領域が違えど共通する部分も多い。お互いのビジネスに刺激を受けながら、知見、ノウハウをシェアする活発な会話が弾む。

目標の達成、成功とは?


学生時代には箱根ランナーとして復路のエース区間を走り、そして一度は走ることを遠ざけた体験を持つ、ラントリップの大森英一郎は言う。

「ランニングって、それがないと生活ができないという生活必需品ではないんですよね。ペイが顕在化していないのでビジネスとして展開するうえでは難しさがある。それでいて、自分の体験から、走ることが人を幸福にすることを多くの人に届けたいとも強く考えています。資本主義のなかでスポーツをいかに広げていくか、そして社会的に価値をもたらすことがいかに自分の動機になっているかということを、みなさんの話を聞いていてあらためて感じました」

RevCommの會田は「よりよい社会を作りたいという気持ちは、みなさんに共通する部分だと感じています。私の事業では最新テクノロジーを活用して日本の生産性を上げることに取り組んでいます。それにより人が経済活動のほかに有効に使える時間が増えて、文化や社会に投じる時間と場が生じる。これもよりよい社会を作るということにほかならないわけです。集まっているみなさんはスポーツだったり、宇宙ビジネスだったり、アプローチは違えど目指す場所は同じ。仲間と一緒によりよい社会を作るという意識を感じられたことを自分自身大切にしていきたいですね」と続ける。



AI航空交通管制システムを開発するトラジェクトリーの小関に、社会への価値の提供と自身の成功への意欲はどのように繋げるかという質問の声が上がる。

「自分自身はかつて大きな企業にいたこともありますが、大企業ではみなが会社の目標に向かうなかで、“それは社会が本当に求めているものなのか?”という疑問が湧くことがありました。さきほどスポーツの世界での閉鎖的な側面についてのお話がありましたが、ロボットやエンジニアリングの領域でも、旧来からの企業と政府の関係による根強い構造があり、そこには強い閉塞感があります。私はそこから飛び出した立場から、彼らにはきっとできないであろう、自動化された新しい未来の世界の、少なくとも一翼は担っていると自負しており、その世界で自分が作ったシステムが社会のなかで動いていることを実現したいという思いを強く持っています」



そんな小関は、John Cooper Worksの試乗を終えて、こんな感想を残していた。

「大企業に小さい企業が勝つ。John Cooper Worksでは大排気量の車に小型車が勝つということだと思いますが、巨人と戦うなかでどこにエッジを立てて闘っていくか、きっとジョン・クーパーはそれを日々考えていたと思います。私は結構運転が好きで普段からドライブを楽しんでいますが、この車はコーナーが本当に速くて旋回性能が高い。きっと、ここに懸けたんだろうと、走りから感じました。そんなスピリットを持って、市販車に落とし込んだ先でもみなさんが車をどう使っていくのかという世界を提示したいのだろうと改めて感じることができました。非常に良い体験でした」

情熱のエンジニアが切り開いたストーリーを具現化するJohn Cooper Works。それは現代にありながら、ジョン・クーパーが想像したであろう未来の車でもある。



そしてこの会を象徴する一言として、最後に、ポーラスター・スペースの中村のコメントを紹介したい。

「みなさんがおっしゃっていることですが、この車は乗っていて楽しい。アクセルを踏み込みたくなる。我々ベンチャーはそれぞれ小さな会社ですが、やはり大きく踏んでいかないといけないのかな、と強く感じました」




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