起業家たちの「頭の中」

五常・アンド・カンパニー 慎 泰俊

「民間版の世界銀行」を目指す五常・アンド・カンパニー。2014年7月創業から急成長を遂げ、2020年8月末時点でインド・カンボジア・スリランカ・ミャンマーに3,400名を超えるグループ従業員を擁し、顧客数は57万人、融資残高は270億円を突破。

2019年9月にはDIMENSIONも含めた投資家から42.2億円のシリーズC資金調達を実施、2020年4月のシリーズD資金調達の第一回クローズ23.3億円に続き2020年9月には海外機関投資家を中心に20.2億円のシリーズD追加資金調達を発表し、2014年7月の創業からの累計資本調達額は120億円に達しました。そんな同社・代表取締役の慎 泰俊氏に起業家の素養、ビジョンなどについて、DIMENSIONの下平将人が聞いた(全3話中、第2話)。

*情報は2019年11月5日現在のものです。


「世界史レベル」のスケール感


──「民間版の世界銀行をつくる」という、会社が目指すゴールのスケールの大きさが慎さんの特徴だと思います。

起業家は「できる」と思っている限界が人より大きい。例えば、イーロン・マスク氏は、自分が言っていることを心から「できる」と信じているように見えます。

では私がなぜ大きなビジョンを描けるようになった背景を考えてみると、学生の頃から古典や哲学、社会思想などの本を数多く読んだ経験を通じて、世界史レベルの「スケール」の大きさに慣れていたからだと思います。仏教やキリスト教などは人類が考えうる最も大きなビジョンを掲げていますよね。ブッダやキリストやムハンマドが成し遂げたことからすれば、私たちの目標なんて小さなものだと思います。

大きさに加えて、ビジョンを実現できると起業家自身が確信しているかどうかも非常に重要で、起業家自身が本気で信じることができていないと周りからすぐに見透かされます。

すごく印象に残っている思い出として、弊社社外取締役の琴坂が参画する前に「本当に民間版の世界銀行ができると思っているの?」と聞かれたことがありました。それに対して私は、「民間版のアジア開発銀行はできる。民間版の世界銀行になるにはいくつか課題があるけど、やればできると思っている」と伝えました。

子どもの頃から、周りの人が「無理だよ」と言われたことをやってきたので、だいたいなんとかなると思っているのかもしれないですね。

──スケールの大きさに加え、「2030年までに民間版の世界銀行をつくり、ほぼ全ての途上国で1億人以上に金融アクセスを提供する」と、数値目標が盛り込まれているのが印象的です。

私たちが手がける金融サービスは比較的数値目標が立てやすい事業だという側面はあると思います。

融資を受けられない、預金口座を持てない、安心して病院に通える保険がないような人たちは世界に20億人以上いるとわかっています。ペインを感じている人の数を計算できているので、このうち何割の人々の課題を自分たちが解決出来るかと考えれば自ずと数値目標が生まれます。

私は数値であれなんであれ具体的な目標を持つことは大切だと思っています。数字があるからこそ、人は真面目にその実現方法を考えます。

私は起業前に1,648km走って本州を縦断しました。もし目標を立てなかったら、家の周りを10kmくらい走ってそれで満足していたと思います。それでも十分な距離です。一見するとできるかどうか分からない目標を立て、その実現に向けて一生懸命に考えるからこそ、それは実現可能になるのです。

文=下平将人 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc.

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