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2020.10.22

世界と勝負できるベンチャー企業が福岡県から育つ理由

FVMを運営する福岡県商工部新事業支援課。右が事務主査の山岸勇太。左が主任主事の田中理貴。

福岡県に拠点を置くベンチャー企業が躍進している。テクノロジーやサイエンスを武器に、IT、医療、農業等さまざまな分野でイノベーションを起こし続けているのだ。そんな挑戦者たちをサポートしてきた福岡県商工部新事業支援課の山岸勇太と田中理貴に、起業家たちの夢をかなえるイベント、フクオカベンチャーマーケット(FVM)のポテンシャルについて聞いた。


約20年にわたるベンチャー企業育成の取り組み


2020年10月26日、「ニューノーマル特集」と題して、fabbit Global Gateway“Acros Fukuoka”で開催される、「フクオカベンチャーマーケット」(以下FVM 主催福岡県ベンチャービジネス支援協議会)は、ビジネスマッチングのイベントというだけでなく、ウィズコロナ・ポストコロナの時代に先駆けとなるかもしれない。基調講演を行うバイオベンチャー、ボナックをはじめ、登壇する企業6社は大きな可能性を秘めている。この6社の活動については、本連載の第二回以降で詳細を明らかにする。

ベンチャー企業の育成に力を注いできた福岡県は、いま、さまざまな分野で多くのベンチャーが革新的なサービスを生み出している。その熱量は、全国トップクラスと言っていいだろう。地域ごとに、他県の自治体には見られない独特のエコシステムも構築されている。北九州のものづくり、久留米のバイオ、飯塚のITといったようにさまざまな地域で産業が育ち、起業家たちは自らの能力を思う存分発揮できる場所を選んで働くことができる。福岡県は、なぜ、これほどの活況を呈しているのだろうか。

日本はいまたくさんの課題に直面している。昨今、硬直した社会システムに風穴を開け、新たな価値を創造するベンチャーの出現が待望されているが、実は、福岡県は何年も前から、起業家を育てる取り組み、起業家を活かす県づくりを推進してきた。その象徴的なイベントが、1999年に誕生し、今日まで毎月一度開催されているFVMなのである。福岡県の現在の熱狂は、FVMの存在なくして語れない。

「インターネットが普及し、マイクロソフトやアップルが世界を席巻し始めたころ、福岡県では、これからの日本の未来を担っていくのは、これまでに存在しないサービスを生み出すベンチャーであるという機運が急速に高まったと聞いています。そこで地元大手企業、金融機関、行政等が連携してベンチャーを支援する官民組織が作られ、ここ福岡から日本を変えていこうと企画されたイベントが、FVMなのです。

FVMは、ベンチャーと、VC、CVCなどビジネスパートナーをつなぐことでシナジー効果を生み、あらゆる業界にイノベーションを起こしていくことを目的に発足したイベントです。いまや世界的に注目されているベンチャーも数多く登壇するほど訴求力のあるイベントに成長していますが、一方で、プロダクトが出来上がったばかりのベンチャーも大歓迎です。99年の初開催以来、民間と行政がともに起業家を育成するというポリシーは受け継がれています」

こう話すのは、福岡県商工部新事業支援課の山岸勇太。FVMを運営する「福岡県ベンチャービジネス支援協議会」の事務局マネージャーであり、FVMのプレゼンスを高めた担当者でもある。山岸が述べたように、福岡県はビジネスマッチングの場を提供しているだけの存在ではない。山岸の右腕、田中理貴が以下のように補足する。


山岸は、民間と行政がともに起業家を育成することがFMVのポリシーだと語る

「誕生したばかりのベンチャーは、どんなに斬新な技術、サービスを開発したとしても、すぐに信用を得られるとは限りません。資金調達で苦戦することもあれば、販路を構築できずに挫折してしまうこともある。若い才能の芽を摘んでしまうのは、福岡県ひいては日本にとっても大きな損失です。豊かな才能にあふれた起業家をいかにしてバックアップしていくかが、私たちのミッションです。

そのためには、ベンチャーと課題を共有し、密接にコミュニケーションをとらなければなりません。イベントの2カ月前から一社一社にコーディネーターをつけ、ビジネスプランやプレゼンスキルをブラッシュアップするお手伝いをしますし、仮にイベント後にパートナーが見つからなかったとしても、そのベンチャーにフィットするVCやCVCを探すための戦略を一緒に考えます」

田中は、FVMの理想形を語っているわけではない。福岡県ベンチャービジネス支援協議会ではこの20年間で、FVMを250回近く開催。トータルで2,600を超える企業がピッチの舞台に立ち、500社以上がマッチングに成功している。この長きに渡る福岡県ベンチャービジネス支援協議会のサポートが、現在の隆盛につながっているのだ。

コロナ禍でさらに進化したFVM


福岡発のベンチャーのなかには、世界的メガベンチャーに対抗できるポテンシャルをもった企業もすでに育っていると田中は自信を覗かせる。

「福岡県では、その年に登壇した企業のなかから、もっとも優れたビジネスプラン、成長が期待できるベンチャーを、FVM大賞、優秀賞、特別賞として表彰しています。受賞したベンチャーのなかには、すでに世界から注目を集めている企業も出てきています。ひとつ例を挙げると、18年に大賞を受賞したQPS研究所は、昨年、インドで地球観測用の小型レーダーの打ち上げに成功しました。

これまでどこの国の研究者も成しえなかった、悪天候でも夜間でも地表を正確に観測できる技術を開発し、4,5年後には36機が地球を周回することを目指しています。いずれ、Googleの地図アプリのように世界を驚かせるサービスを提供してくれると期待しています」

FVM大賞を受賞したベンチャーの中には世界から注目される企業もすでに育っていると田中

QPS研究所はFVMへの登壇で端緒を開き、2017年だけで20億円以上の資金調達に成功している。今後、その額は飛躍的に伸びていくだろう。

地元大手企業、金融機関、VC、行政が一体となって、0→1を生み出そうとする起業家がチャレンジできる環境をつくり上げたことで、福岡県にはここ数年、県外からも続々と才能にあふれた人材が流入している。FVMもまた、日本の若手起業家の間ではメジャーなイベントとしてすでに認知されていると言っていいだろう。なぜなら、FVMに登壇する企業の4割が、いまや他県から進出してきたベンチャーなのだ。

福岡県が秀逸なのは、今回の「ニューノーマル特集」のように、テーマを明確にしたイベントを随時開催していることにある。数カ月に一回、テーマを決めるのは、ビジネスマッチングの確率を上げるためだけに企画したことではないと山岸は言う。

「投資にはトレンドがあります。数年前は、AIやロボティクスを推進している企業が脚光を浴びました。いまはまさにニューノーマルがホットなキーワードになっていると思います。数年前、「スマート農業」をテーマに掲げ、FVMを開催したのですが、参加してくれたベンチャー同士の交流が始まり、さらなる成長を遂げるきっかけになったという嬉しい声も届いています。これこそが私たちが望んでいた波及効果です」

今年のコロナ禍でもFVMはさらに進化している。今春、緊急事態宣言が発令されると、福岡県は、FVMをオンライン開催にすぐに切り替えた。この決断は奏功する。感度の高い県外のVCやCVCがこのイベントを見逃すはずがなく、問い合わせが相次いだという。さらなるリソースを確保したいベンチャーにとっても有益なのは言うまでもない。現在、FVMはリアル開催と、オンライン配信を上手く使い分けながら情報発信をしている。

オンライン開催の反響は、予想をはるかに超えるほどだったと山岸が振り返る。

「オンライン開催を始めたことで、これまで会場に足を運ぶ機会がなかった全国のVC、CVCにも福岡県のベンチャーの価値が伝わるようになりました。ベンチャービジネス支援協議会が今年目標として掲げた2022年には、県内ベンチャーへの投資額100億円の突破も夢ではないと思っています」

福岡の熱狂、それは、まだ始まったばかりなのかもしれない。


福岡ベンチャーマーケット(FVM)
https://www.fvm-support.com/


■福岡県ベンチャービジネス支援協議会とは(FVB協議会)

福岡県が事務局となり、官民連携によるベンチャー支援のプラットフォームとして平成11年に設置。「フクオカベンチャーマーケット(FVM)」を中心にベンチャー支援を実施している。

【会長】貫正義(九州電力㈱相談役、九州経済同友会代表幹事)
【会員】249社・団体(VC、銀行、商社、メーカー、証券会社、監査法人、生保・損保、地方自治体、ベンチャー支援機関など)
【事務局】福岡県商工部新事業支援課

Promoted by 福岡県 / text by 篠原 洋 / photographs by 後藤 秀二 / edit by 高城 昭夫

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