──Red Bull Basementに参加する学生にとって、コミュニティへの参加はどのような機会になると考えていらっしゃいますか。
世界をターゲットにキャリアを切り開きたいと考える学生さんの手助けができればと思います。コミュニティの中では、自然とキャリアに繋がるような色々な機会が生まれるのではないでしょうか。
12月には参加者の中から日本代表に選ばれた人たちが、オンライン開催のグローバルワークショップに参加すると聞いています。そこで世界の若きイノベーターたちとも繋がり、海外とのコミュニケーションが生まれるのも期待しています。
──日本の若者は世界に比べて、起業家精神が低いと言われています。若きイノベーターを受け入れるために企業側はどのような環境づくりをすべきでしょうか。
まずは企業側は「聴く」ことが大事です。大企業であるほど、既存のフレームワークや方法が決められがちですが、それでは組織として限界だからこそ、企業はイノベーターを求めているという背景があります。
フレッシュな気持ちで入ってくる新入社員は会社の常識を知りませんが、その目線で見て「おかしい」ということを素直に言えて、聞いてくれる環境が必要です。ビジネスとしてできる/できないはありますが、まずは誰もがオープンに意見が表明できる場づくりが必要です。そして聴く耳を持ってください。
オンラインでインタビューに答える村上臣。学生目線だけでなく、企業においてイノベーター人材を生かすための方法も聞いた
──組織において、イノベーター人材の才能を生かすコツはありますか。
イノベーターは自分自身で物事を起こせる人。新入社員であっても「オーナーシップ」を持たせるということが鍵になります。企業側としてはリスクに感じるかもしれませんが、ある一定のビジネスフレームワークの中でヒト、モノ、カネの権限を与えて、大胆に任せることです。ある程度ディレクションは必要ですが、しばらく様子を見るような場づくりを意識された方が良いと思います。
今回、「Red Bull Basement」のコミュニティをつくったのも、学生も企業もお互いが自発的に繋がりを生み出せるように安全な場を提供したかったからです。
──日本の企業の人事評価システムは年功序列型から変化はしていますが、まだなかなか従来から変わっていない組織風土も残っています。
企業において意思決定の権限を持つ人は、若手社員の親のような年齢層の方も多くいます。僕自身もデジタル側に移行している「デジタルイミグラント」(移住者)だと思いますし、まずは、生まれた時にデジタルに囲まれている「デジタルネイティブ」の感覚を信じることが大事だと思います。若者の考え方がよくわからないから、アイデアを採用するのはやめておこうという発想は捨てるべきです。
正直、いまの学生の中にはSNSで5万人フォロワーがいるという人はたくさんいます。社内にそういう人がいなければ、社員にとって、学生はSNSの大先輩ですよね。企業側は年齢関係なく、スキルやその人自身にどんな価値を見出して投資するのかを考えた方が良いですね。