血液型や漫画キャラを使った「〇〇タイプ」診断、偏見生むリスクも?

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「自分とは何か?」就職活動、社会人生活、家庭の中で......。人生の様々な場面でぶつかるこの問いに、就活中の具体的な問題の解説から、心理学、ソクラテス以来の哲学までを横断し、生徒5人とそれぞれの専門家とのディベート形式で迫っていく高橋昌一郎氏の著書『自己分析論』。その中から、私たちもよく目にする心理カウンセリングに用いられる「類型論」について紹介する。


「スヌーピーでカウンセリング」には問題あり?


文学部A:精神科医エイブラハム・ツワルスキーは、アメリカでたくさん本を出版していて、驚きました。日本でも『スヌーピーたちのいい人間関係学』とか『23のマンガによる心理カウンセリング』のように、何冊も翻訳されていますね。

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心理カウンセラー:漫画の『スヌーピー』は、深い人間観察に基づいた作品だと思うし、大人が十分楽しめる内容であることもたしかね。ツワルスキーは、スヌーピー以外にも、いろいろな漫画を使って心理カウンセリングを行っていることで有名なんだけど、実は私は、彼の処方には賛成できないのよ。

経済学部C:漫画を使った心理カウンセリングって、おもしろそうですが、よくないんですか?

心理カウンセラー:ツワルスキーの心理カウンセリングの様子を学会発表で見たことがあるんだけど、プロジェクターでクライアントに4コマ漫画を見せながら、あなたが家族に対して取った行動はルーシーの行動と同じだとか、仕事上で弱気になるのはチャーリー・ブラウンの精神状態と類似しているなどとカウンセリングしているわけ。

経済学部C:わかりやすくて、よさそうですが?

心理カウンセラー:漫画がよくないというよりも、たった九種類の漫画のキャラクターにクライアントの行動を「類型化」してしまうことに問題があるのよ。

『スヌーピー』登場人物のパーソナリティ分類


1 何でも人のせいにする人[ペパーミント・パティ]
2 自分でないものになりたい人[スヌーピー]
3 思いこみが強い人[ウッドストック]
4 人をあやつる人、人にあやつられる人[ルーシーとライナス]
5 いつも自分に自信がない人[チャーリー・ブラウン]
6 自分中心でまわりが見えない人[シュローダー]
7 不機嫌で怒りっぽい人[ルーシー]
8 優等生すぎる人「マーシー」
9 どこかずれている人[ピッグ・ペンとスパイク]

医学部E:たしかに、安易に「類型化」しすぎる可能性がありますね。
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