同紙は前回2016年の大統領選では、編集委員会が「トランプ候補に投票しないよう」読者に呼び掛けるにとどめていた。社説面の編集者であるビル・スターンバーグ編集委員はこのとき、ニュースサイトのアクシオス(Axios)に対し、「“編集委員会の保守的なメンバー”があと一歩を踏み出すことができず、民主党のヒラリー・クリントン候補への支持を表明するには至らなかった」と明らかにしていた。
だが、編集委員会は今回、米国は「感染症、経済的苦難、人種問題、気候変動によって激甚化する自然災害に悩まされている」「この国は危険なまでに針路からそれている」として、読者にバイデン候補に投票するよう要請。「“ほぼ間違いなく”、バイデン候補は(新型コロナウイルスの)危機により適切に対応していただろう」とも主張している。
スターンバーグ委員は初めて特定の候補への支持を表明した理由について、次のように説明している。
「私たちは、進んでこうした行動に出たわけではない」「再びこうした行動を取る必要が生じないことを願っている。だが、私たちは現在、最も重要な転機の一つを迎えていると考えられる。いまそこに危機があり、明確に選択すべきことがある」
ただ、同時に編集委員会は、これがUSAトゥデイのニュース編集室の見解を反映するものではないことにも言及している。
相次ぐ支持表明
今回の大統領選では、複数のメディアが創業以来の伝統を破り、特定の大統領候補への支持を公表している。そうした媒体には、「サイエンティフィック・アメリカン」「ランセット・オンコロジー」「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」「ネイチャー」などの科学誌も含まれている。
一方、政治専門紙ザ・ヒルによると、2016年の選挙では、大手新聞社(100社)のなかでトランプ候補支持を表明していたのは2社にとどまり、史上最も少ない数となっていた。