ビジネス

2021.11.07 10:00

ファーストクラスの乗客が「高級ワインを断り、お茶漬けを食べる」理由


ファーストクラスでも「わが家のように」過ごす


飛行機に乗るとなると、「機内食は何が出るかな」、「映画は何を観ようかな」などつい〝サービス”に目を向けてしまいがちです。しかし、ファーストクラスのお客様は飛行機だから何か特別なことをするのではなく、〝過ごし方”にフォーカスされ、家の延長のような考えで過ごされているように感じます。

家では、お腹が空いていない時に無理に食べたりしませんし、疲れた時にはお休みになることでしょう。

機内でもそれと同様の発想で、自分が快適に過ごすために今何が必要かということを一番に考え、必要ないものは損得に関係なく選択されないのです。

高級コース料理をキャンセルしてお茶漬けを食べるお客様


ファーストクラスの訓練を受けた際にとても印象に残っているのは、やはりその金額のことです。特に欧米線のファーストクラスでは片道100万円以上かかることも多いため、それに見合った質の高いサービスを提供できるようにとみっちり訓練を受け、身が引き締まる思いでした。

しかし、気合いを入れてファーストクラスのサービスに臨むとまず驚くのが、お客様が何も望まれないということです。

私自身、初めてファーストクラスを担当した際に、「今日はずっと寝て行きたいから、食事はキャンセルでお願いします」と言われ驚いたことがあります。しかし、それは決して珍しいことではないのです。

深夜便だからと食事はラウンジで済ませてきたのでメインの料理はキャンセルされ、到着前に軽食のみ召し上がるお客様や、機内では運動量が減るため胃に負担をかけないようにとお茶漬けなどの軽食を好まれたり、身体のために機内ではお酒を飲まないというお客様も少なくありません。

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Getty Images

とある外資系エアラインに勤務していたCAの話では、日本発着路線のファーストクラスでは特別にお寿司を提供しているにも関わらず、お客様に人気なのはお茶漬けやうどんといった軽めのものばかりで、食事キャンセルのお客様もたくさんいらっしゃるといいます。

また、「あまりお腹が空いていないから、コースのこれだけちょうだい」など、自分のお腹と相談しながら最初から必要な量だけを頼まれたり、お連れさまとシェアされるお客様も多いです。
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文=清水裕美子 編集=石井節子 サムネイルデザイン=高田尚弥

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