著書『ファーストクラスCAの心をつかんだマナーを超えた「気くばり」』も上梓した清水氏に、機内で学んだ「人のミスにどう対応するか」に関して以下、ご寄稿いただいた。一流の乗客が、たとえばCAがミスをした場合、「責める」代わりにすることとは──?
自慢できることではありませんが、機内での失敗談だけで1冊の本ができてしまうのではないかというくらい、実はCAたちはそれぞれ忘れられない失敗談を抱えています。
でも本当に忘れられないのは、ミスした内容よりも、その時のお客様の対応です。そこから一生忘れられない学びを得ることも多いのです。
ここではCAの心に残るお客様の対応の共通点について、実際の機内エピソードを含めご紹介いたします。
ミスを責め立てない
元中東系エアラインの客室乗務員のエピソードでこのようなものがあります。
「以前、ファーストクラスにお乗りのカタール人のお客様の真っ白な洋服にコーヒーをこぼしてしまったことがあります。しかし、『全然問題ないよ』とまったくお怒りにならなかっただけではなく、日本人の私がアラビア語で謝罪したことを喜んでくださいました。超一流のお客様は心の持ちようが違うのだなと実感したエピソードです」
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私自身、新人時代にビジネスマンのスーツに派手にオレンジジュースをこぼしてしまったことがあります。国内線だったので着替えをお持ちではなかったのですが、「大丈夫ですよ」と穏やかな対応をしてくださいました。さらに、後日「真摯に対応してくださって、心が洗われました。ありがとうございました」と会社に御礼のメッセージまでくださったのです。
私もこのように人のミスに寛容に対応できる人になりたいと思ったエピソードです。
ミスをしたCAに励ましの言葉をかける
手紙ではなく、その場で励ましの言葉をかけてくださるお客様もいらっしゃいます。
あるCAが自身のチェックフライトの際、管理職も同乗していたこともありとても緊張していて、飛行機が急に揺れた際に、上顧客のお客様に派手にドリンクをこぼしてしまったことがあるそうです。
必死に対処する彼女に、お客様は「最初はびっくりしたけど、人ってこういうことがあるものだから落ち込まないで頑張ってね」と励ましの言葉をかけてくれたといいます。
さらに、同乗していた管理職にも「彼女は一生懸命頑張っているから、あまり怒らないであげてね」と言ってくださっていたとのこと。