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洋服や身の回りのものが濡れてしまいお客様ご自身も大変な状況の中、ミスをした相手を思いやる言葉をかけることができるなんて、人間としての器の大きさを感じますね。

超一流がミスを責めない理由


思わず声を荒らげてしまってもおかしくないような状況でも、冷静に対応し、さらに相手のことを思いやるお客様は、「人はミスをするもの」「起こってしまったことは責め立てたところでどうにもならない」という考え方をされているように思えます。

いくら相手を怒鳴ったところで、残念ながら服が濡れてしまったという事実は変わりません。機内でできる対応も、シミにならないようできる限り拭く、国際線などで着替えがある場合は着替えていただき、そのあいだに汚れてしまった服を洗い乾かす、クリーニングクーポンを発行するといったことくらいで、お客様が怒鳴っても、冷静な対応をされても、できる対応は変わりません。

そう考えると怒鳴るだけ損になる気がしませんか。

声を荒らげる姿はイメージを転落させる


声を荒らげて怒った時、相手やまわりの人だけでなく、自分自身も嫌な後味が残るはずです。

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逆に相手を思いやる冷静な対応をしたら、相手の一生の思い出に残るくらい感謝されるだけでなく、自分自身もいい気分になるのではないでしょうか。

もちろんミスをした本人は十分に反省しています。むしろ、責め立てられると人は「だって、揺れたから仕方なかったし......」などと言い訳を考えたくなってしまうものですが、寛容な対応をされると言い訳の言葉がなくなり、100パーセント自分の責任として受け止めることになります。そのほうが「もう二度とこんなミスはしないようにしよう」という思いは強くなります。

上司が部下を大声で叱責していたり、飲食店で先輩が後輩を厳しく指導しているような場面を見かけることがありますが、たとえ相手がとんでもないミスをしていたとしても、以前も同じミスをして注意したことがあったとしても、声を荒らげている様子は怒られている側ではなく怒っている側のイメージを転落させてしまいます。

いつ誰に見られても恥ずかしくない対応をする


お1人でお乗りのお客様と、家族や友人・仕事仲間とお乗りのお客様、CAがミスをしてしまったときに寛容な対応をしてくださるのは、実は圧倒的に後者が多いです。

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その方はお1人でお乗りの場合も寛容な対応をしてくださるかもしれませんが、少なからず一緒に乗っている家族の目、友人の目を意識されているからではないかと思います。

いつ誰に見られても恥ずかしくない服装をするのと同様に、いつ誰に見られても恥ずかしくない態度をとるというのも、スマートな大人のエチケットと言えるのではないでしょうか。

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清水裕美子◎日本航空(JAL)の客室乗務員として国際線ビジネスクラス、ファーストクラスなどを含め約5年乗務する。退職後はCA流美容コンサルタントとしてセミナー、メディアなどで活動するほか、日本初のCAが発信する総合情報サイト「CA Media」を立ち上げる。All Aboutビューティー担当ガイド。最新の著書は、『ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」』(青春出版社、2020年7月刊)。

文=清水裕美子 編集=石井節子 サムネイルデザイン=高田尚弥

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