新型コロナは食品パッケージにも付着の可能性、手洗いで対策を

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中国疾病予防控制センター(中国CDC)は先ごろ、山東省青島で行っていた新型コロナウイルス(SARS-CoV2)感染の追跡調査の過程で、輸入された冷凍タラの外装から生きたSARS-CoV2を検出したと発表した。

国営の新華社通信によると、中国CDCは、「生きたSARS-CoV2が付着したパッケージに触ることで、感染する可能性があることを証明する結果だ」との見方を示しているという。

だが、これは必ずしも、冷凍食品の購入をやめるべきだということを意味するものではない。生きているSARS-CoV2が発見されたとしても、その冷凍食品のパッケージから、このウイルスに感染した人が確認されたわけではない。

また、中国CDCは同時に、国内のコールドチェーン(低温物流)市場がSARS-CoV2によって汚染されているリスクは非常に低いとも述べている。検査が行われた冷凍食品またはそのパッケージのサンプルは、およそ67点。SARS-CoV2が検出されたのは、このうち22点だ。

いずれにしても、これは驚くべき発見ではない。これまでの研究によって、生きているSARS-CoV2はガラスなどの一般的な物の表面上で、長ければ28日間生存すること、低温の方がより長く生存する可能性が高いことが確認されている。

米疾病対策センター(CDC)のウェブサイトには、「(せきやくしゃみ、発話などによって発生する)呼吸器の飛沫が、物やその表面に付着する」可能性があること、「ウイルスが付着している物に触った手で自分の口や鼻、目に触れることで、感染する可能性がある」ことが説明されている。

つまり、中国CDCの発見は、私たちにとってどのような意味を持つのだろうか──?

一般的に言えば、目と鼻、口を冷凍食品やそのパッケージに近づけてはいけないということだ。そして、パッケージを触ったら必ず、自分やほかの人に触る前に、せっけんを使って20秒以上の時間をかけて、しっかり手を洗う必要があるということだ。

誰かがその冷凍食品のパッケージに向かって咳をするなど、汚染された危険性があることが明らかな場合は、パッケージの表面と、パッケージが触れていたその他の物を、きれいに拭いたほうがいいかもしれない。パッケージを消毒しても、食品に消毒剤が触れることがない限り、問題はないはずだ。

だが、世界保健機関(WHO)のウェブサイトによれば、WHOは現在も、「食品のパッケージを消毒する必要はない」との見解を変えていない。それは、食品のパッケージに触ったことで感染する危険性は、比較的低いとみられているためだ。

ごくわずかな量のウイルスが付着していたとしても、それが感染につながる可能性は低い。感染を引き起こすのは、それに十分なだけの量のウイルスが十分に長い期間、パッケージの表面にとどまっていた場合だ。いずれにしても、冷凍食品とそのパッケージを取り扱うときには、標準的な安全対策を講じる必要があるということだ。

懸念すべきものは、SARS-CoV2だけではない。このウイルスがパンデミックを起こしているからといって、サルモネラ菌などのその他の病原体が、“社会的距離”を取ってくれるわけではない。食品や食品のパッケージには、それらの細菌が付着している可能性もある。そして私たちはそれらの病原体によって、病気になる可能性もある。

編集=木内涼子

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