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お米ライターが探る世界と日本のコメ事情

日本米×タイ米の塩おむすび

世界中の米の中から2つの国の米を混ぜておむすびにしたらどうなるのか? 日本米と外国産の米を混ぜた「ミックスおむすび」を作り、両国の人が一緒に食べる。米を「unite(むすぶ)」だけでなく、人と人もむすぶ食文化イベント『United Rice Ball』が今年も9月26日に開かれた(昨年の様子はこちら)。

2020年に開かれた第二弾は、日本米とタイ米のミックス。プロジェクトメンバーの1人である私は、今回も米の選択と調達を担当した。実は今回、どの米を使うかとても悩んだのだが、完成した塩おむすびは「シンプルで穏やかで美しい」「絶妙なマリアージュ」と好評だった。「相容れない米」同士が打ち解けるまでの手間と工夫を重ねた試行錯誤を紹介したい。


参加者には事前に米とハーブとレシピが届き、それぞれ自分で作ったおむすびをオンラインイベント中に食べるという趣向で開催された。

まったく性格の異なる米をむすぶ


ミックスおむすびは簡単ではない。紹介したように、日本の米は短粒種であるのに対し、タイの米は長粒種(『平成最後の年に振り返る、タイと日本の「米」の変遷』を参照)。日本では粘りのある米を白飯の状態で食べるが、タイではぱらぱらとした米をスパイスや味付けの強い料理や調理法で食べる。食べ方が違うので好まれる米も違う。

まったく性格の違う両者をむすぶためにはそれぞれどんな品種を使えばいいのか悩んだ。

選んだ日本米は「里山のつぶ」という品種。中山間地での栽培を適地とした福島県の米で、「粒張り」と「適度な粘り」が決め手となった。

様々な品種を試したが、粒がやわらかい品種やしっかりと粘る品種は、パラパラとしたタイ米とうまく混ざりづらかった。その点、里山のつぶは、粒が際立ち、しっかりとした歯ごたえがあり、かつ粘りすぎない。タイ米に混ぜると米粒同士がすんなりとなじんだ。

一方のタイ米は「カオホンマリ」というタイの最高級香り米を選んだ。英語名の「ジャスミンライス」と言えばなじみがあるという人もいるだろう。

今回使ったのは「ゴールデンフェニックス」というブランド名のカオホンマリ。この米を日本国内に流通させている米卸会社「木徳神糧」海外事業部でタイ出身のジョイスによると、カオホンマリは香り米の最高級ランク名で、品種名は「カオドークマリ105」と「ゴーコー15」の2つ。両者の品種特性はほぼ同じで食べても違いは分からないそうだが、この2品種はタイの香り米の中でも特に形状と香りが良いという。

塩むすびは、United Rice Ballのイベントでもっとも重要なメニューの一つだ。おむすびレシピの考案を担当しているのは、金子健一とマツーラユタカによる男性フードユニット「つむぎや」。和食ベースのオリジナル料理を提案している。

「シンプルな塩むすびだからこそ、それぞれの米の個性があらわれる」と金子は言う。特徴が違う米同士を1つにむすんで調和させながらも新しい味を生み出すにはどうすればいいのか。金子が考えたのは、日本米は炊飯、タイ米は湯取り法で調理した上で、両者を混ぜてむすぶという方法だった。

文=柏木智帆

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