お米ライターが探る世界と日本のコメ事情


海外の米を食べて日本の米を知る



新型コロナウイルスの感染拡大に配慮して、東京にある駐日タイ大使公邸からオンライン配信した。(撮影:古谷萌)

今回のイベントは、タイと日本の国交樹立133回目の記念日である9月26日に東京にある駐日タイ大使公邸で開催され、シントン・ラーピセートパン駐日タイ大使夫妻も出席した。

シントン大使のこんな挨拶が印象に残った。「実は国交樹立した133年前よりも以前から日本とタイはお米を媒介して結ばれていました。アユタヤから琉球王国(現在の沖縄)にタイ米が入ってきて、タイ米を原料に泡盛が造られていたのです。泡盛は日本とタイの長い交流を示した代表的なものです」。それからシントン大使は泡盛スパークリングで乾杯した。

私は常々、日本の田んぼを守るためには国産米を消費することが大事だと言ってきた。そのため、このUnited Rice Ballを通して日本人に米やおむすびの魅力を再発見してもらうことが、私の個人的なテーマだった。

しかし、シントン大使の言葉を聞き、米を媒介とした異文化交流の可能性にも改めて目を向けたいと思うようになった。

もちろん国産米の消費は農業や食文化や安全保障において重要だ。一方で、他国の米や米食文化を知ることは、日本の米や米食文化の独自性やポテンシャルに気づくきっかけになる。これは海外で米を取材するたびにいつも感じることだ。

United Rice Ballのイベントも、国や地域や特性を超えた「米」という存在の魅力を発掘、あるいは再発見させてくれるいい機会だ。

今回、シントン大使夫人が2カ国のお米を混ぜたおむすびの具にタイのグリーンカレーや田麩などを入れてアレンジして披露してくれた。どんな国のメニューをも具材にしてしまう「おむすび」という存在は本当に懐が深い。

「米」と「おむすび」を媒体として米そのものだけでなく、異なる国同士の食文化や人をuniteする試みに今後も期待したい。


シントン大使夫人が作ったタイ米×日本米のアレンジおむすび(撮影:上江洲佑布子)

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文=柏木智帆

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