お茶の価格急騰、パンデミックや気候変動で供給網に乱れ

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新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で、カフェでお金を払って淹れてもらっていた朝の一杯のお茶を、自宅で淹れざるを得なくなった人が増えている。目下、卸売りの茶葉の価格が上昇しているため、消費者価格も高くなっている。だが、この価格急騰は、需要が増えた結果なのか、それとも供給が減ったせいなのだろうか?

ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によれば、現在の卸売り茶葉の価格は、3月に比べて50%高くなっているという。たいていの消費者が購入するお茶の価格も上昇している。前年と比べて、ティーバッグのパッケージは1.7%、液体のお茶(ボトル入り濃縮タイプ)は9.6%高くなっている。

パンデミックに疲弊した消費者が温かい飲みものから得られる気晴らしを求めているせいで、お茶の需要が増加しているのだろうか? あるいは、お茶の抗酸化作用をもちあげる善意の専門家のおかげで、世界的な危機のさなかに健康を守りたくてお茶を飲む人が増えているのだろうか?

自宅でお茶を飲む人は増えているかもしれない。だが、お茶の価格が上昇しているのは、消費者の習慣の変化だけが理由ではない。パッケージやその他の形態のお茶の価格に関しては、消費者が及ぼす影響を考えるだけでは十分ではないのだ。

需要の増加に加えて、茶葉の供給の問題もある。ロイターによれば、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、世界のお茶市場で混乱が生じはじめているという。その原因は、この春のロックダウンだ。収穫から出荷にいたるサプライチェーンにおける複数の分野が影響を受けている。

ロイターは以下のように報じている。

「世界の茶の輸出は、中国、インド、ケニア、スリランカ、ベトナムの5カ国で82%を占めているが、新型コロナウイルスのパンデミックを封じ込めるための厳しい移動制限により、すでに重要な茶摘みシーズンに乱れが生じ、場所によっては出荷が1カ月ほど遅れ、それが価格急騰の引き金になっている。2020年は、最大の生産国である中国の生産高が減少すると見込まれる。摘み手が減ったことに加えて、3月の気温が例年よりも低かったことが理由だ。また、生産量2位のインドとスリランカも、人手や気候の問題の影響を受けている」

干ばつも茶葉生産に痛手を与えており、今後も気候変動による茶葉業界への影響は続くと予想されている。パンデミックが終わっても、お茶愛好家を悩ます供給問題は終わらないかもしれない。茶葉を育てられる気温条件は限られていて、特定の地域でしか育てられない。また、茶葉は干ばつの影響をきわめて受けやすい。

あなたが次に飲むお茶の価格は以前よりも高くなるかもしれないが、その変化を、パンデミック下でお茶を大量消費している人のせいにすることはできない。供給の問題は、需要の増加よりもはるかに大きな影響を価格に及ぼしているからだ。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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