米国で古典アニメの「差別表現」が問題に、Disney+は警告表示

Photo by Chesnot/Getty Images

ディズニーのストリーミングサービス「Disney+」は、昨年から古い映画に人種差別的内容が含まれていた場合、注意書きを表示していたが、ユーザーからの苦情を受けた同社は、この取り組みを一歩前進させることに決めた。「ダンボ」(1941年)や「ジャングルブック」(1967年)などの作品には、より強い警告が添えられることになる。

Disney+は先日から複数のクラシックアニメ作品に新たな警告を表示している。その一例にあげられるのが「この番組には、人々やカルチャーをネガティブに描いたり、不当な待遇を与える場面が含まれています。これらのステレオタイプは当時も今も、誤ったものです」という文言だ。

この文言が表示される作品には、アジア人に関するネガティブなステレオタイプを含む「おしゃれキャット(The Aristocats)」や「わんわん物語(The Lady and the Tramp)」の2作品が含まれ、ネイティブ・アメリカンに対する差別的描写を含む「ピーターパン」もその対象となっている。

昨年時点で導入されていた注意書きの文言は「この番組は制作された当時のままの形で配信されており、今では時代遅れとなった文化的描写が含まれている可能性があります」となっていた。

クラシック作品を配信するストリーミングサービスが増える中で、数十年前には広く受け入れられていたが、今では時代にそぐわなくなった描写に対策を講じる必要性が高まっている。

同様の問題に直面しているのは、Disney+だけではない。今年6月に、HBO Maxは1939年の映画「風と共に去りぬ」の配信を一時的に停止した。これは、米国全土で反人種差別デモが拡大したことを受けての措置であり、この映画は米国の奴隷制度を美化しているとの批判を浴びていた。

HBO Maxはその後、この映画に注意書きを添えて配信を復活させていた。

一部の視聴者らはディズニーに対し、競合のワーナー・ブラザースが導入したような、明確な警告を行うよう求めていた。ワーナー・ブラザースは昨年11月に、1940年代の映画「トムとジェリー」の配信を開始するにあたり、「この作品には、かつての米国社会で一般的だった民族や人種に関わる偏見の描写が含まれている。このような描写は、その当時も今も不適切だ」との警告文を表示していた。

編集=上田裕資

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