ビジネス

2020.10.28

ネットフリックス創業者の新著『No Rules』から学ぶ企業文化の3つの指針


本書でもこのように説明しています。

「平凡な成果しか出せない社員を管理するほうが労力も時間もかかる。小規模な組織と無駄のないチーム構成であれば、各マネージャーに任される社員の数が減り、より効果的に管理できるようになる。このような無駄のないチームにトップレベルの社員ばかりを集めれば、マネージャーのパフォーマンスが上がることから始まって、他の社員たちも能力をより発揮できるようになり、結果的にチーム全体の生産性や効率が上がる」

業界最高水準の給料を保証するために、ネットフリックスでは少し変わった取り組みを行っています。なんと、他社の類似ポジションで支払われている給料を知るために、リクルーターと面談したり、他社の採用面接を受けたりすることを社員に推奨しているのです。そして、他社からオファーされた給料のほうが高かった場合には、それに合わせて給料が上げられるそうです(もちろん、社内で非常に高く評価されている社員に限ります)。

リクルーターから電話が来たら、「断る前に『いくらで?』と聞くべき」というのがネットフリックス流です。

無限有給休暇、自己裁量で使える経費、そして自由を与える


ネットフリックスが大事にしているもう1つのテーマが「自由と責任(Freedom & Responsibility/F&R)」です。本当に業界トップレベルの人材ばかりが揃っているなら、自分自身を「管理」して適切に判断する能力も高いはずなので、もはや企業として管理する必要がないという考えに基づいた理念です。

この理念は同社の無限有給休暇制度や経費規定にも反映されています。ネットフリックスの社員はいつでも、いくらでも休暇を取ることができます。それどころか、充分に休んで心がリラックスしているときのほうが良いアイデアが浮かぶという考えから、積極的に休暇を取ることが推奨されています。また、ネットフリックスには経費規定がありません。目標を達成するために会社の経費をいくら使うべきか、自ら合理的かつ適切に判断できると信用されているからです。

これらの自由がある一方で、もう1つのキーワードである「責任」についても徹底しています。例えば、プロジェクトをローンチする週に休暇を取る、個人的な旅行に会社の経費を流用するなど、明らかにまずい行動をとったことが判明すれば、その社員は即解雇されます。しかも、ただの解雇ではありません。他の社員への教訓となるよう、社内で大々的に通知されるのです。具体的には、解雇理由の細かな説明が全体メールで送信され、その前例から学ぶよう促されます。

ネットフリックスの文化は非常にユニークです。あまりにも無秩序だ、容赦ない、過激すぎるなどと感じる人も多いでしょう。私も今回紹介した価値観の全てに強く賛同しているわけではありません。しかし、彼らの文化や価値観から学ぶことは多いのではないでしょうか。部分的に取り入れられそうな価値観も多く、特にスタートアップとの相性が良さそうです。

実際、限られたリソースの中で事業を成功させなければ会社の存続すら危ういような企業では、パフォーマンスの最適化は合理的どころかむしろ必須であるはずです。私自身もこの本からたくさん学ぶことがありましたので、全ての起業家にぜひ一度は読んでみて欲しいです。

文=James Riney

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