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そんな中で、彼らが考える、世界に通用する20代以下のアーティストは日本に存在するのだろうか。

「世界でキャリアを積むことのみが、若者にとっての正解だとは思ってませんが」と前置きをした上で、卯城はこう続けた。

「若手作家で面白い人はいますよ。全く新しい価値観で世界を捉え直しているから色々と教えられています。でも『世界に通用している』のが誰かと聞かれると、キャリア的には難しい。

みんな刺激的なのですが、ありのままで、国際的な場や公的な場に繋がる機会が日本には少ないんです。アートに限らず全体的に、海外にアクセス出来るような人間を伸ばす土壌が日本にはない。

台湾を見れば、数年前まで『サンフラワー・ムーブメント(ひまわり学生運動)』の議会占拠にも関わっていたオードリー・タンが、いまでは政権のデジタル大臣(担当政策委員)を務めている。アナキストを公言していて、ギークで、トランスジェンダーで......日本でそういう方が大臣を務めるなんて、起こり得ますか?

台湾でも韓国でも頻繁に世代交代や政権交代が起こるけど、それだけ風通しが良いというか、新陳代謝が良いということ。日本はその真逆ですよね。社会の色んな場所で交代劇がないというか、新陳代謝が悪い。“古いおじさん”の論理がいつまでもパブリックの論理として横たわっていて、みんなそこに回収されている」

政治に限らず、企業や学校......いわゆる「オンラインサロン」に至るまで、集団の中で同質化が進み、異なる価値観や「異分子」がいまだに出づらい状況がある。

「どんなに若者に才能やセンスがあったとしても、パブリックに接続されないなら、小さい集団が作られるしかないでしょ。日本は他国よりもオンラインサロンが流行っていると聞いたことあります。それは、インフルエンサーは自分の箱庭や城をつくって、自分の価値観や考え方を評価してもらう場所をつくるしかない状況になっているんじゃないでしょうか。

そこで満足が得られたら、世界に接続しなくても良いし、『おかしいから世界を変える』というふうにも頭が訓練されていないから思考が追いつかない......。そんな中で国際的なキャリアを構築できるわけがないんです。

これ、若者の問題じゃなくて、例えば日本のアートシーンも国際的な影響力はほぼゼロなんですが、国内での満足度は高いでしょ。そういう構造的な問題だと思うんです。日本からはBTSが出てこないというか」(卯城)

日本のUNDER30が、活路を見いだすには


そんな彼らが編集部に推した人物がいる。アイドルで元アンジュルムの和田彩花だ。Chim↑Pomとは今年に入ってから何度か邂逅を果たし、クローズドでコラボレーションも行なった。

間もなく子どもが生まれるエリイのお腹にエリイが聴診器を当て、胎児の心臓音をスピーカーで鳴らしながら、和田はエリイとその子どもに向かってポエトリーリーディングをしたという。

写真=小田駿一 文=大矢幸世

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