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害獣、ゴミ、廃墟──。Chim↑Pomはキャリア初期から、都市と人々の営みを想起させるモチーフを取り扱ってきた。2020年7月には新作「May,2020,Tokyo」を発表。コロナ禍における東京をいち早く封じこめ、作品として提示した。

「はじめに『スーパーラット』でネズミを捕まえていた頃はもちろん、伝染病について知っていたわけではありません。でも嫌われ者と理解したうえでいろいろと調べてみると、ネズミはペストを媒介した存在として忌み嫌われる対象になったことがわかった。そうやって作品づくりをしているうちに、どんどんさまざまな歴史や文脈と接続していったんです」(卯城)

卯城は、歌舞伎町でホストクラブなどを経営するSmappa! Groupの会長であり、エリイの夫でもある手塚マキがForbes JAPANに寄せた手記にも言及しながら、100年単位で時代が移りかわっても、変わらない人の業を指摘する。

「COVID-19で『ニューヨークで葬儀場や遺体安置所が満杯になり、近くの孤島にマスグレーヴ(共同墓地)が作られた』というニュースを見て、そのままコレラ禍当時のマンチェスターとリンクしました。当時は都市に労働者が集まり、上下水のインフラがない街で貧乏人や老人ばかりが死んでいった。富裕層はそれを見て『不道徳の病だ』と非難した。

日本でも『夜の街』と名指しして、『そういうところに関わらないことが感染防止』という認識を持っている人がいると、マキさんも言っていたけど、感染症が流行るときに“不道徳論”が出てくることを改めて間近に見た。AIDSもはじめのうちはゲイの方々がその論理で差別されましたよね。理性が狂う瞬間というか、なんだかなと思うんです」(卯城)

日本を巣食う閉塞感と選択肢の少なさ


世界中で新型コロナによる影響はさまざまな形で表出したが、日本でもそれは顕著だった。

“自分とは違うもの”として他者を切り離して、犯人探しをして、いっせいに石を投げる。そんな“ムラ社会”的な日本を、エリイはこう評する。

「自分が異物とするものを排除しようとするよね。COVID-19以前から、そうね、3.11後からだんだんと表面化したというか。村の中で結束して優越つけたり。自分も気をつけないと」

卯城もその言葉を引き継ぐ。「ある意味ここが村だということに気づかなくても、幸せなのかもしれない。国民性的に」

アートの世界においても閉鎖的なのは変わらない。

写真=小田駿一 文=大矢幸世

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