「解雇」のあり方に見直しを AIは心的・社会的ダメージを軽減するか

「解雇」についても話し合われるべきだ(Photo by Unsplash)

長らく話し合われることのなかった「解雇」が与える影響について、再考すべき時が来ているかもしれません。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。

・企業による解雇は、職を失う労働者と、残された同僚に壊滅的な影響を与えます。
・AIを活用した「アウトスキリング」により、解雇された労働者は、次のキャリアのステップに向けて準備をすることができます。
・ビジネスリーダーは、企業や従業員が不確実な未来に備えることができるよう、率先して支援を行う必要があります。

「混乱した」「どうしていいか分からない」「恥ずかしい」「絶望した」

解雇された労働者の口から出るのはこのような言葉で、多くの人が、人生で最も悲惨な経験のひとつだったと涙ながらに語ります。心理的な負担に加えて、解雇された労働者の83%は健康状態が悪化する可能性が高く、悲しいことに自殺する可能性も高くなります。

解雇の影響は、従業員が失業したことを知らされた後もずっと続きます。ハーバード・ビジネス・レビューの研究によると、解雇された労働者の収入は、解雇後20年経っても当時の同僚より20%も低く、さらには、失業の痛みから回復するのには、愛する人を失った時よりも時間がかかると、行動科学者は示唆しています。

さらに、あまり語られることのない現実問題として、度重なる解雇が、会社に残っている労働者に与える影響があります。残った従業員の仕事の満足度は41%。職務遂行能力は20%低下し、自発的な離職率は31%上昇します。解雇は、士気、生産性、雇用定着率にマイナスの波及効果をもたらし、収益を大幅に下落させることもあります。

現在実施されている解雇は、非人道的に行われることが多くあります。また、ビジネスにおけるディスラプション(創造的破壊)と自動化が進むこの時代に、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が重なり、解雇はなくなるどころか、その頻度と範囲が拡大する可能性があると見られています。
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文=Hamoon Ekhtiari , CEO, FutureFit AI

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