「解雇」のあり方に見直しを AIは心的・社会的ダメージを軽減するか

「解雇」についても話し合われるべきだ(Photo by Unsplash)


サンライフ・ファイナンシャルのシニア・バイス・プレジデントで人材担当のエミリー・シュアー氏は、次のように述べています。

「経営陣にとっての課題は、自動化、イノベーション、経費面での圧力のサイクルに関する考え方を変えることです。人の気持ちを考慮しない解雇を最初の防衛策として行うのではなく、積極的かつ意図的なリスキリング(再訓練)とアウトスキリング(離職をする者に対するスキル訓練)を行って、労働者が社内外を問わず、次の雇用機会にソフトランディングできるよう支援するというのはどうでしょうか? 大打撃となる解職ではなく、支援を受けた移行であれば、企業、家族、そして地域社会にプラスの結果をもたらすでしょう」

つまり、従業員のライフサイクルのあらゆる部分が、ビジネスリーダーによって再定義されつつある現代の世界で、解雇だけが30年前と同じように破壊的で非人道的なままであるという点が問題なのです。

なぜ解雇の方法は進化しないのか


過去10年の間、企業は採用プロセスや従業員の福利厚生から、学習と能力開発に至るまで、未来の仕事へ適応力をつけるため、数多くの革新的な人材イニシアティブを導入してきました。しかし、あらゆる企業にとって現実に起こりうる解雇については、最も未来を重視する企業でさえ言及することはほとんどありません。

長い間、解雇について議論することはタブー視されてきました。カナダロイヤル銀行の元人事最高責任者(CHRO)であり、デロイト社の「新しい仕事のあり方」に関するエグゼクティブ・アドバイザーでもあるザビーン・ヒルジ氏は「ほとんどの経営者は、人材やスキルの課題とは異なり、解雇については個人的に経験したことがないため、おそらく共感性というものがパズルのピースとして欠落しているのではないだろうか」と話します。

このような共感性の欠落があったとしても、すべてのビジネスリーダーは、今後数年で解雇が増加する可能性があるという事実に対処し、適応していく必要があります。遅きに失したとはいえ、解雇とその影響について話し合い、従業員のライフサイクルの他のあらゆる要素と同様に、解雇を再考する作業を開始していく必要があります。

AIを活用し、解雇を再考する


解雇について再考し、影響を受けた労働者がキャリアの次のステップに向けた準備をするための解決策は、皮肉なことに失業の原因と同じ要素、つまりAI(人工知能)によってもたらされる可能性があります。
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文=Hamoon Ekhtiari , CEO, FutureFit AI

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