AI活用の採用活動に潜む欠陥 機械から高評価を得るコツ

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具体的かつ簡潔に説明する


採用のプロによると、機械により不採用にされることが多いもう一つの要因は、自分のスキルや経験を曖昧、あるいは大げさに説明することだ。

プロジェクトマネジメント業務をしている人は、「業界を率いる複数のソフトウエアプログラムの使用経験がある一流プロジェクトマネジャー」のような説明をせず、「プロジェクトマネジャーとして10年の経験を持ち、日常的にジラ(Jira)とアサナ(Asana)を使用している」などと書こう。

機械は、あなたの履歴書を読んでも感情を想起されることはない。AIは「一流」や「業界を率いる」のような言葉を無視するか、最悪の場合は応募書類の要点を見逃してしまうかもしれない。スターリングによると、採用アルゴリズムが考慮する主要なポイントはスキルと経験であり、他の部分はほとんど評価されないかもしれない。

適切な表情を作る


AIが活用される場面は、履歴書の評価だけではない。ユニリーバなどの企業では、1次面接にAIを活用するようになっている。AIを使ったビデオ面接ツール「ハイアビュー(HireVue)」によると、同ツールを導入したユニリーバでは採用活動にかける時間が約90%減り、候補者が取らなければいけない時間は5万時間以上削減できたという。

しかし心理学者の中には、顔分析ツールが採用プロセスに活用できるほど発達していないことを危惧する人もいる。表情分析に1970年代から使用されている感情分類法を考案したポール・エクマンは、自動化システムが顔の表情を正確に読み取れることを示した研究はこれまで存在しないと指摘している。

エクマンは「人は、自分が観察されていることを知ると行動を変えるものだ」と説明。自分の感情が分析されると言われると、多くの人が自意識過剰になり、アルゴリズムはそれを自信のなさと解釈する可能性があると指摘している。

エクマンは、面接のアルゴリズムをだまそうとはせず、その企業が応募者にどのような性質や要素を求めているのかを考えるよう勧めている。「積極性」を求めているのであれば、生き生きとした雰囲気を強調する。誠実さが求められているのなら、ニヤニヤしたり、しかめ面をしたりといった極端な表情はしないこと。

良いか悪いかは別にして、アルゴリズムを使った採用活動はこれからも続く。目立とうとするのではなく、周囲に溶け込むこと。これは人間の採用担当者に対しては賢い戦略ではないかもしれないが、AIを使った審査を勝ち残るには最善の策となるかもしれない。

編集=遠藤宗生

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