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TOHOシネマズ渋谷前。16~18日のあいだは特に、劇場版『鬼滅の刃』を目当てに多くの人が来館した。

新型コロナウイルスの感染拡大が続いたことで、世界の映画業界が苦境に立たされている。映画館運営で世界2位の英シネワールドは10月5日、米国と英国の全映画館を一時閉鎖すると発表。この決定は、従業員約4万5000人に影響するとされており、業界関係者に衝撃が走った。

そんな中、日本の映画市場が好調を取り戻しつつある。大手映画会社・東宝の映画興行収入は、前年同期比99.4%減を記録した5月の最悪期から脱して順調に回復を続けている。株価も19日、2019年9月27日以来、約1年ぶりの高値水準となる4790円にまで一時上昇した。

映画業界には、政府が力を入れる需要喚起策「GoToキャンペーン」の追い風も吹いている。「GoToイベント」事務局ホームページによると、参加する販売会社からチケットを購入すると、 代金の2割引やクーポンなどの特典が受けられる。チケット販売事業者の公募は10月中旬から開始されており、その後、審査が通った事業者から対象チケットが販売される予定だ。

緊急事態宣言下では、映画館は政府の規制対象となり、数週間にわたり閉鎖され、その後も収容人数を50%以下に規制されてきたが、9月19日からは座席数の規制が緩和され、現在は「全席販売」が可能となっている。

TOHOシネマズ、劇場版『鬼滅の刃』で全座席販売


しかし座席数の規制緩和に関しては、当初は歓迎だけでなく戸惑いの声も上がっていた。

実は規制緩和後にすぐさま全ての映画館が「全席販売」へと戻ることができたわけではない。その一因には、新型コロナウイルス感染拡大防止のため「全席販売は飲食を伴わない場合に限る」とする、全国興行生活衛生同業組合連合会の通達があった。

その後、飲み物の持ち込みは可能となったが、各劇場は「座席を全席販売し、食べ物の販売を取りやめる」か「座席を半分に抑え、食べ物の販売を継続する」かの二者択一に迫られていた。飲食物の販売は利益率が高く映画館運営の生命線の一つのため、「全席販売」へと踏み切るためのネックとなっていた。

東宝の子会社「TOHOシネマズ」では、規制緩和後もしばらく座席の50%販売を続けてきたが、10月10日、11日など、東京と大阪の一部の劇場において全席販売を実施。また16日公開の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」では、一部特別興行を除いて、16~18日のあいだTOHOシネマズ全劇場全座席の販売へと踏み切った。TOHOシネマズ新宿では、11スクリーンで深夜を含め1日計42回上映されるなど、異例の上映回数も話題となった。

文、写真=渡邊雄介

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