ビジネス

2020.10.20

未来は若い人たちのもの。だからこそ「未来のデザイン」は若い人たちの仕事

山田邦雄 ロート製薬会長(左) 金森万里子 東京大学大学院(右)


金森:人は生き物が苦しんでいる姿を目の当たりにすると、自分の生死についても深く考えるもの。そうした営みを積み重ねていくうちに培った価値観や倫理観は、地域や社会の秩序やバランスを保つうえでも非常に大事です。研究を通じて、そうしたところを少しでも引き出すことができれば、と思っています。山田会長は、どのようなビジョンをお持ちですか。

山田:単純に言えば、みんなが健康で幸せに暮らせるサステナブルな社会です。食べるべきものをきちんと食べ、次の世代の子どもを産み、伝えるべき価値観をきちんと教える。当たり前のことが当たり前にできるような社会にすること。いまはそれが崩れてしまっている。当たり前のことをきちんとできるような未来こそ素晴らしい。

ただ、未来の社会やシステムを考えるのは、私たち上の世代ではない。20代、30代の若い人たちの仕事。未来は若い人たちのものだからだ。本当なら、年配の者が「ああだ、こうだ」と口を出すのは間違っている。若い人たちも、そう言われたらもっと怒るべきだ。「あなたたち世代が好き放題したツケではないか」と。

私も含めて、上の世代をうまく利用すればいい。私は自分たちの世代がやり残した宿題があると思っている。若い世代の人たちが未来をつくることを支えること。それは、金森さんのような若いリーダーの皆さんの成長を支える仕組みをつくること。それが使命だと考えていますから。


やまだ・くにお◎ロート製薬代表取締役会長。1979年、東京大学理学部物理学科卒業後、80年ロート製薬入社。慶応義塾大学大学院経営管理研究科卒MBA(経営学修士)取得、99年代表取締役社長を経て、2009年より現職。

かなもり・まりこ◎東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学/健康教育・社会学分野博士課程(社会医学専攻)。北海道大学獣医学部卒業後、北海道ひがし農業共済組合(牛の臨床獣医師)などを経て、2018年より現在に至る。

構成=池田正史 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN Forbes JAPAN 8月・9月合併号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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