本田が語った、起業家として最も大切にしていること、そして彼が若い起業家を積極的に支援する理由とは──。
本田圭佑が今年、初めて「30 UNDER 30 JAPAN」に参画するに際して、編集部に提示した条件があった。それは、国内のUnder 30のみならず、彼が注目をする海外のUnder30も「DREAMERS AWARD」受賞者として、フィーチャーするというものだった。
そこには彼なりの明快な理由があった。本田はこう言うのだ。
「日本の受賞者、読者の視座を上げる機会に絶対になるはずだから」
視座を上げる──。体験に裏打ちされたその信念を聞いてみた。
「俺も負けじとやらなあかんと思う」
2018年、俳優のウィル・スミスらと「ドリーマーズ・ファンド」を立ち上げた後のことだ。マネジング・パートナー、中西武士を通じて「コインリスト」の共同創業者兼CEOアンディ・ブロムベルグに彼は出会った。
「ビットコインが出てきてすぐ、2017年に彼らはトークン販売のプラットフォーム、そして今年、仮想通貨取引所を作りました。暗号通貨が世界をよりよくする、暗号通貨空間に信頼と正当性を持ち込みたいというビッグピクチャーを描いてビジネスを展開しています。僕自身も事業をやっているので、彼らのような若い起業家の視点、構想、世界観、そして行動力からは大きな刺激を受けるのです。若い人たちから得られる学びは大きく、貪欲に吸収するようにしています」
2020年5月。世界が新型コロナウイルスの感染拡大にあえぐなか、本田は元ネスレ日本社長の高岡浩三や、元FiNC代表取締役CEOの溝口勇児とともに「WEIN挑戦者FUND」を立ち上げた。
ファンドを通じて、21世紀の課題解決に挑戦するスタートアップを支援するという。
「起業家を応援することで、世界の役に立てたら」
それが本田の決意となった。以降、これまでに「ドリーマーズ・ファンド」、個人ファンド「KSK Angel Fund」を運営してきた。支援したベンチャー企業の数は50社を超える。
本田が支援をする際に重視してきたのは「既存の状態に満足することなく挑戦を続ける姿に、自分自身が刺激を受けたかどうか」。