「スポーツにてしても勉強にしても、やる気のあるなしって、生まれ育った家庭や地域にものすごく影響を受けるんです。だからこそ、家庭環境や場所に関係なくオンライン上で仲間やチャンスを得ることができて、どんな時代でも自分自身をアップデートし続ける力が身につくソーシャルスクールを僕らはつくっています。周囲の理解を得られなくて、やりたいことをできていない中高生を集めていこうというのがコンセプトです」
かく言う本田自身は、どうやって仲間を見つけてきたのか。
そう問いかけると、「僕もすべての人間関係がうまくいったタイプではないので……。仲間が去っていったということもありましたし」としばしこれまでの経験を振り返りながらも、「そういえば、仲間を集めるときの感覚は、投資先を選ぶときの感覚に近いものがあるかもしれないです」と話し始めた。
「事業を手がける仲間という意味では、言うことを聞いてくれる人より教えてくれる人のほうが、僕は評価しているんですね。何か言ってくれれば耳を貸す間柄のほうが、結果的にいい組織になると信じているんです。投資するときは、同じような感覚をもっているタイプの起業家なのかどうか。それは見ますね」
世界の課題を解決するために投資を続け、起業家として幅広く事業を展開している。
これ以上、何をやろうというのか。
そう聞くと、間髪入れずに「全然、まったく満足していないです」という言葉が返ってきた。
「始まったばかりです、挑戦は。起業家としては、教育事業でめちゃくちゃインパクトをつくりたいと思っています。本田圭佑、こんなもんじゃないっていうのを見せ続けて、どこまで行っても不思議じゃないと言われる存在でいたい」
ビッグマウスを口にしながら、サッカー界で大きな功績を残してきた本田が考える、生きることの本質──。
それはおそらく、挑戦を通じて自身を高め続けると同時に、次代をつくる人たちに成長や挑戦の機会を与え続けることにあるのだろう。
「人は誰もが、好きなように生きたいと潜在的に思っている。人間が持つ欲望を、いい方向に生かす起業家でありたいんです」