マネー

2020.10.18

株式市場を席巻する「超成長」スタートアップに注目

Photo by Chesnot/Getty Images

ブライアン・チェスキーの口座残高は、1000ドルにまで減っていた。彼は無職だった。しかも、サンフランシスコで住むアパートメントの家賃は25%も跳ね上がろうとしていた。

窮地に追い詰められたチェスキーは、なんとかお金を稼ぎ出すための「ばかげた」アイディアを試してみた。使っていない寝室にエアーマットレスを3つ置き、開催予定だった会議の参加者に貸し出すことにしたのだ。

チェスキーは簡単なウェブサイトをつくり、エアーベッド&ブレックファストと名付けて宣伝した。この「ばかげた」アイディアに、いまでは300億ドル(約3兆1590億円)の価値がある。ご存知の通りAirbnbは、旅行者に自宅を貸し出すウェブサイトとして大成功を収めている。

わずか12年前に設立されたサイトに、いまや、大手ホテルチェーンのマリオットとヒルトンを合わせたよりも多くの部屋が掲載されているのだ!

スタートアップのAirbnbが、世界で最も成功した2つのホテルチェーンを打ち負かした秘密は何だろうか。

衝撃的と思われるかもしれないニュースを紹介


米国勢調査局の新たなリポートによると、現在、起業家の数は2007年以降で最多のレベルにまで増加している。

何かの間違いではない。パンデミックの真っ只中である今、「新規ビジネスを立ち上げること」は、人々のTo Doリストの上位にあるとは思えないかもしれない。しかし、猛スピードで発展する現代の新技術のおかげで、普通の人が夢の事業を現実化することは、かつてないほど容易になった。

エマージェントリサーチが行った最近の調査によると、米国にはいま、4100万人の起業家がいる。まぎれもなく過去最大の数値だ!

いま起こっていることは、投資家にとって非常に重要だ。先ほど書いたように、歴史上初めて、米国人の誰もが、キッチンのテーブルについたまま、安く手軽にビジネスを立ち上げられるツールを手にしている。

ウェブサイトを運営するのに、もはや高価なサーバーを購入する必要はない。クラウドを使えば、アマゾンやマイクロソフトのスーパーコンピューターを、自前サーバーの数分の1のコストで借りることができる。ショッピファイに月30ドルを支払うだけで、すべてのEコマース需要を処理できる。クレジットカードを受け付けたいならペイパルを使えばいい。法務サービスでさえ、リーガルズーム(LegalZoom)で基礎をカバーできる。どうしようもなく煩雑な売上税法への対応も、アバララ(AVLR)に任せればOKだ。

ほんの数百ドルの投資で、週末の数日でここまで準備できる。そして、ここからが重要なのだが、この現象は、小規模起業家に立ちはだかる障壁を崩しただけではない。経済の上から下まで、個人事業主から株式市場のトップクラスの企業まで浸透しているのだ。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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