コイツは速い。パワーと安心のPHEV仕様BMW X3はフューチャーカーの本命

X3 xDrive30e


一方、「AUTO eDRIVE」モードなら、アクセルの踏み具合によって、自動的にエンジンとモーターを適度に作動させて力強い加速を提供する。つまり、アクセルペダルの踏み方によって、パワートレインをコントロールできる。だから、スポーティにドライブしたい人は「AUTO eDRIVE」に入れればいい。なぜかというと、このPHEV仕様のX3はSUVにしては加速性もいいし、コーナリング性能も優れている。そしてバッテリー部分は車の床下やラゲージスペース下に配置されているので、コーナーに進入した時に、ボディはほとんどロールしないし、狙ったラインを保つ。

ブレーキペダルを力強く踏むと、制動力が十分に効くまで、少しフニャッとした反応になるので、慣れが必要だ。でも、この2トンの車重を止められる回生エネルギーはちゃんとあるので、ブレーキは自信を持って踏める。ACC、レーンキープ、緊急ブレーキなどの安全装備はたくさん搭載されているけど、僕が特に気に入っているデバイスは、フロントの左右180度のビューをセンターコンソールの画面に映す広角レンズカメラだ。両側の視界が遮られた角に入る場合に、カメラをONにすると、全方向が見えるのでとても助かる。

左右が見渡せるビュー

さて。本当の話をしよう。航続距離100キロ走行したあたりで、このようなPHEV車こそが「近未来」の主流になるだろうとの思いが深まった。

大気汚染を解決しようと世界各国の政府が今世紀に入って動き出し、排気ガスの排出をより少なく少なくするように、カーメーカーにプレッシャーがかかっている。

しかし、なぜ多くのユーザーが毎日排出する排気ガスを減らしたいとは思いつつ、ガソリン車からEVに乗り換えないのか。それは、満充電で走れる航続距離は、伸びたとは言えまだ少なくて、電欠の恐れもある。数百キロ走行しただけでまた充電をしなければならないからだ。それに高価格。

走行中のX3

プリウスのようなハイブリッド車は、ガソリン車から最終目的地と言われているEVまでの、通過的なパワーソースに過ぎない。

いっぽう、発電機としてガソリンエンジンがつくPHEVは、その問題をほとんどクリアしている。X3 xDrive30eのようなPHEV車は、排気ガスを出さないEVモードだけで44kmも走行できるし、その間にチャージされている。これなら、多くの顧客は電欠の恐れを感じないで気軽に乗れるフューチャーカー像ではないか。

近未来には、当然バッテリー技術もどんどん進化するので、EVモードだけで走行できる距離はどんどん伸びるし、しかも、バッテリー技術が普及すればするほど、こんなPHEVの価格が下がるはず。つまり、今現在は高めの781万円が600万円台に下がり、EVで走れる距離が伸びれば、より多くの顧客が乗りたがるに違いない。

文=ピーター ライオン

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