ビジネス

2020.10.20 10:00

優秀なエンジニアはどこにいる? パイオニアのDX戦略と「副業人材」がもたらすもの

パイオニアの石戸亮(右)、 overflow代表取締役CEOの鈴木裕斗(左)

パイオニアの石戸亮(右)、 overflow代表取締役CEOの鈴木裕斗(左)

老舗電機メーカーのパイオニアが、「データ」を活用した新たな成長戦略を進めるべく、DX人材の確保に乗り出した。そのパートナーとして選んだのは、スタートアップ企業のoverflowが運営する、エンジニアとデザイナーに特化した副業・複業採用プラットフォーム「Offers(オファーズ)」だ。

社内の人材育成と並行して、外部から優秀なデジタル人材を採用することで、今後主力となる「モビリティサービス」事業を強化していく狙いがある。

DX人材の確保が急務


パイオニアの主力事業といえば、カーナビゲーションやカーオーディオ、ドライブレコーダーなどの「カーエレクトロニクス」だ。この分野においてグローバルで高いシェアを誇る。

「ここ10年ほどのデジタル化やIoT化により、モビリティの世界は大きく変化しました。パイオニアもハードウェアのメーカーから変革しなくてはいけない」

そう危機感を募らせるのは、同社モビリティサービスカンパニーCDO(最高デジタル責任者)の石戸亮だ。データ戦略の旗振り役を任され、サイバーエージェントやグーグルを経てこの4月にジョインした。

「モビリティサービス」事業とは、独自のデジタル地図データやカーナビなどの自社製品から長年収集してきた膨大なデータを活用したクラウドサービスだ。現在、事故発生地点や個人の運転傾向などのデータをもとに、事故や危険を予測・警告する先進運転支援システム「インテリジェントパイロット」や、業務車両の動態管理や業務指示、危険運転の把握など高度な運行管理・支援を行えるサービス「ビークルアシスト」などを展開している。

今後もこれらのビッグデータを活用して、渋滞や事故などの社会課題を解決する新しいビジネスモデルを次々と立ち上げていくという。

こうした事業変革のなかで、DX人材の確保は急務だった。このモビリティサービスで集まった莫大なデータをどう活用し、どう新規事業につなげていくか。その戦略まで考えられるスーパーエンジニアの存在が鍵となる。

「社内にエンジニアは多くいます。けれど、新戦略の中核となるクラウドを基盤としたアプリ設計が得意なエンジニアは少なかった。パイオニアが今まで強みとしてきた分野とは異なるスキルを持つ人材はどこにいるのかと探したら、オファーズに行きついたんです」(石戸)

優秀なエンジニアはどこにいる?


オファーズは、エンジニアとデザイナーに特化した副業・複業採用プラットフォームだ。企業が求人する場ではなく、オファーズに登録されているエンジニアやデザイナーに企業側が直接打診して採用するダイレクトリクルーティング型をとる。現在、国内最大級である約50万人をデータベースから検索可能になっている。

オファーズを運営するoverflow代表取締役CEOの鈴木裕斗は、「エンジニアやデザイナーの人材確保の難易度は、どんどん上がっているし、これからも上がっていく」と言う。

「オファーズは、登録者が企業側からのオファーを待つだけというシンプルな導線にしています。優秀な人材には、黙っていても複数のスカウトが来る。そんな多くの企業から求められる技術者たちが登録して損がないプラットフォームに育てることで、企業側も優秀な人材に効率的にかつダイレクトにアプローチできると考えています」(鈴木)
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文=大竹初奈 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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