ホワイトハウス内のこうした動きが報じられる直前には、ロックダウン(都市封鎖)や学校・ビジネスの閉鎖に反対する科学者らのグループが、「グレートバリントン宣言」と題した文章を発表していた。宣言の内容にはすでに50万人以上が賛同し、署名しているという(ただ、一部には偽名が使われているとされる)。
この宣言のなかで科学者らは、「現在のロックダウン政策は、短期的、長期的な公衆衛生に壊滅的な影響を及ぼしている」と指摘。さらに、次のように主張している。
「集団免疫を確立することのリスクとメリットのバランスが取れた、最も思いやりあるアプローチは、死亡リスクが最も低い人たちに通常どおりの生活を認め、自然感染を通じて免疫を得るようにすると同時に、最もリスクが高い人たちをよりよく守るというものだ」
集団免疫が確立されるとは、基本的には、十分な数の人が(たとえば)新型コロナウイルスに対する免疫を持ち、その感染症が簡単には広がらなくなることだ。そして、それによって感染していない人たちが間接的に守られることだ。
米政権がこの計画に傾いているとのうわさは、以前からあった。だが、実際に関係者がその考えを認めたと伝えられたのは、今回が初めてだ。これを受けて、世界中の専門家たちが懸念を表明している。
専門家たちはこれまでも、集団免疫は良い考えではないとの見解を示してきた。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長も10月12日、集団免疫を確立するために新型コロナウイルスの感染を拡大させることは“非倫理的だ”と発言。米国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長もまた、この考えを非難している。