なぜHIKAKINは「好きなことを仕事に」できたのか? #30UNDER30

HIKAKIN


そんなHIKAKINの後輩で、「30 UNDER 30 JAPAN 2020」の受賞者の1人として選出されたのがYouTuberのはじめしゃちょーだ。彼についてHIKAKINはこう話す。
advertisement

「彼がすごいのは、ソロでトップを張っていること。僕の打ち立てた数字を越えていった存在です。『このくらいでも面白いよね』なんて他のクリエイターたちのぬるさをぶっ飛んだ発想で壊して、文字通り寝る間も惜しんで企画を考え続ける執念を心から尊敬しています」

ある日、収録が重なったスタジオで、HIKAKINが「あれはじめしゃちょーは?」と聞くと、「いまソファーで寝ています」と周囲のスタッフから応えが。当時からはじめしゃちょーはさまざまな仕事に引っ張りだこの状態だったが、自分のYouTubeチャンネルでの毎日投稿を死守していた。昼夜関係なく動画制作に打ち込んでは、その隙間にほんの少しの仮眠をとる生活を続けていたのだ。この日も夜通し企画を考え、準備をしていたという。

何事にも熱中し、時間を忘れることができる。これがはじめしゃちょーの強みだ。
advertisement

「どこかクレイジーで狂気に満ちた気迫を感じる。こういう人間は強いですし、僕も勝てないなと思いました」

「好きなことは仕事になるのか」をシビアに問え


そんなはじめしゃちょーと同じUNDER30世代に向けて、夢を叶えるためのアドバイスを聞いてみた。

「まずは、自分の好きなことを見極めることです。僕もビートボックスが好きで上京して、最終目標はあやふやだったけど、毎日頑張れたのは好きだったから。好きなことを仕事にしたいと思ったら、その市場のトップのやり方を徹底的に分析してみるのが僕のやり方です」

趣味でやる分には、観察も分析も必要ない。だが、仕事にしようと思うのならば「その好きなことは仕事になるのか?本当に自分の力でやっていけるのかを、シビアに問うべき」だという。



「僕はビートボックスが好きで、ビートボックスがやりたくてYouTuberになりました。でも、仕事としてやっていくなら、ビートボックスだけにこだわるより、クリエイターとして少し違うことにも柔軟に取り組んだほうがいいと思ったんです。

自分がやりたい好きなことだけを一直線に目指すのか、それとも、好きな分野から少しズラしたり広げたりしても、好きなことを続けていける環境をつくるのか。これは大きな違いです。ちょっと違うジャンルに踏み出せば、もっと大きな市場が切り開けるかもしれないから」

そう考えた彼は、ビートボックス動画が最初にブレイクしたあと、2011年に「HikakinTV」を開設した。YouTuberとして、ビートボックスとは関係ない動画をアップし始めたのだ。これが今に繋がる快進撃の始まりとなった。
次ページ > 本当にやりたいことをやれる環境をつくる

文=石戸 諭 写真=小田駿一 リタッチ=上住真司 編集=松崎美和子

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事