キャリア・教育

2020.10.21 14:00

日本のジェンダーギャップはいつ埋まる? Waffleのふたりが目指す未来 #30UNDER30


「いつかプログラミング教育の分野で起業したい。その修業のために就職しよう」
 
そう決めて、プログラミング教育を手がける起業家のSNSアカウントを片っ端からフォローし、隅から隅まで読み込んだ。そんな矢先、NPO法人「みんなのコード」代表理事の利根川裕太が大阪でイベント会場を探しているとの投稿を見つけた。役に立てるかもしれない。すぐにコメントした。そこから縁がつながり、17年に同社初のフルタイム職員になった。
 
当時の田中の様子を、利根川はこう振り返る。

「年収も聞かずに『働きます』と言われて、こちらがびっくりしました。やると決めたら徹底的にやる。それは当時から一貫していますね」
 
広報に人事、企画運営と、半年ごとに仕事の内容を変えながら事業立ち上げのノウハウを学んでいった。そんななか、田中はある事実に気づく。小学生向けのプログラミングイベントの参加者は男女半々なのに、中高生向けのイベントでは女子が1〜2割しかいないのだ。
 
なぜなのか。データを調べてみると、女子学生のITに対する興味や関心は10代で一気に低下する傾向にあるとわかった。

「IT業界のジェンダーギャップは、ここから始まっているのかもしれない」
 
そう思った田中は副業で、女子中高生が楽しくプログラミングを学べる場づくりを始めた。共感者は多く、関心を示す企業もあった。ニーズはある。だが、起業することには迷いがあった。

「私よりもエンジニアリングに詳しい人がやるべきだと思って。だから、この分野で事業を起こしたい人のサポートに入ったりもしました。でも、1年、2年と待っても立ち上がらなかった」
 
20年には小学校でプログラミングが必修科目になる。遅くとも19年内には団体を設立し、「女子中高生向けのIT教育といえばここ」と言われるブランドを確立していくことが重要だ。やるしかない。だが、もっと適任者がいる気もする。
 
そこに現れたのが斎藤だった。
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文=瀬戸久美子、写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN No.076 2020年12月号(2020/10/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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