起業か複業か。女性の働き方は今後どう変わるか?

左:松尾考哲氏 右:菅原智美氏


「エメラルド倶楽部」の会員は、増加の一途を辿っている。設立当初は、会員の口から漏れ聞こえてくる悩みが、女だからといって銀行がお金を貸してくれないとか、父親の会社を継いだら融資をストップされたなど、明らかに理不尽な内容が多かったという。

かつては「女であること=マイナス」と捉える風潮に頭を悩ませる会員からの相談が多くあった。「エメラルド倶楽部」はそうした悩みを共有し、互いに助言し合うことができる場として躍進を遂げてきたのだ。

女性と男性のコミュニティーの違い


一方、外資系企業と日本のドメスティックな企業の両方で働いた経験があるモノクロム代表取締役会長の松尾は、女性が活躍する場面を常に目の当たりにしてきたという。サラリーマンを辞めてさらに驚いたのは、今日では多岐にわたる分野に女性社長がいて活躍していることであった。そこに新型コロナウイルスを発端とする社会の変化や、2019年頃からの働き方改革もあり、起業する女性の数はさらに増えるだろうと予測する。



松尾がエメラルド倶楽部の交流会に参加した際に、すぐに気づいたことがあった。若い個人事業主である女性が、先輩経営陣のなかで前向きに勉強している姿がとても多かったということだ。

男性社会には暗黙のヒエラルキーがあり、個人個人を階層付ける傾向があるという。しかし女性は受け入れる側が胸襟を開いており、若い個人事業主とベテランとが比較的フラットにコミュニケーションできる土壌があるというのだ。

「大企業が素晴らしくて、小さな個人商店は劣るというような法則はない。強いものが強くて、弱いものが弱いままだと、いつまでたっても成長できないじゃないですか。エメラルド倶楽部には、若手起業家と大御所経営者が互いに学びあう機会と場がある。それは一般の会社組織では稀なことです」



菅原も松尾の意見に賛同し、「女性は経営者が集まる交流会でも、会社の規模や売上にかかわらず、感性や感覚で合いそうな人と仲良くなります。それが男性だと、互いに様子を見合うことが多い。会社の売上とか年齢といったスペックが気になるんですね」と指摘した。
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text by Naoe Tamako(lefthands) / edit by Shigekazu Ohno(lefthands) photographs by Takao Ota

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