起業か複業か。女性の働き方は今後どう変わるか?

左:松尾考哲氏 右:菅原智美氏

1986年の男女雇用機会均法の施行、2016年4月の女性活躍推進法施行を経て、女性の活躍の場は広がり、働き方の多様性も認められるようになった。そしていま新たに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、社会全体がこれまでの働き方を根本から見直すように。

こうした状況下で、女性が世の中でもっと輝いて活躍できるようになるためには、どのような課題かあるのだろうか。女性経営者をサポートする会員組織「エメラルド倶楽部」代表理事の菅原智美と、副業マッチングプラットフォーム「週末モデル」を運営するモノクロム代表取締役会長の松尾考哲に話を聞いた。


「自分の能力を試したい」を「女だから」の理由に阻まれる


菅原が働き始めた頃はまだ男女雇用均等法が整っておらず、女性は結婚したら辞めるという考え方が残っていた。女性が活躍しているというイメージで入った航空会社も、現実は違った。

海外勤務希望を出したが「女だからダメ」。ならば営業部に移動したいという希望も「女だからダメ」と断られた。いまの時代では受け入れがたい理由だが、その頃はごく当たり前だったという。



「希望が通らない理由が『女だから』と面と向かって言われて、心が折れました。そこでリクルートに転職したところ、聞いていたとおりの能力主義で、男女の別なく成果によって出世できる会社でした。広告営業だったのですが、売れば売るほどお給料が上がりますし、責任ある仕事も任せてもらえました」

その後、女性を取り巻く考え方や環境がいい方向に変化した背景には、インターネットの普及という要素もあったと菅原は語る。家にいながら、子育てしながら仕事ができるようになったこともあるが、会社組織の中で面と向かって伝えにくかったことが伝えやすくなったという点も特筆されるという。

女性経営者の会をつくる


職場ではまだセクハラという言葉の認知もなかった頃と比べ、女性を取り巻く環境が大きく改善されつつあるなかで、2010年に女性経営者同士の交流を育むための組織「エメラルド倶楽部」を立ち上げた菅原。設立の動機を聞いてみた。



「ひと言でいうと、私自身が欲しかったから。起業1年目は本当に大変で、分からないことだらけ。赤字も続き、もっと学ばないといけない、もっと人脈を築かなくてはいけないと、経営者の会に入りました。ところが100人ぐらい参加するセミナーに、女性は2、3人しかいない。調べてみると、日本の経営者における女性の割合はわずか10%ほどでした。

そんな背景もあり、わざわざセミナーで相談しても『女なのだから、別の道もあるんじゃない?』と言われて真に受けてもらえず、悔しい思いをしました。そこで、女性の経営者の会がないのなら、自分でつくろうと思ったのがきっかけです」
次ページ > 女性と男性のコミュニティーの違い

text by Naoe Tamako(lefthands) / edit by Shigekazu Ohno(lefthands) photographs by Takao Ota

ForbesBrandVoice

人気記事