低賃金で昇進機会が少なく、離職率が高い小売企業はこれまで、同ランキングに入ったことはなかった。米小売業界の2019年年収中間値は2万5250ドル(約270万円)、1年間の平均離職率は60%にも上る。
だが、新型ウイルスの流行により小売店の店員が突如、最前線で働く「エッセンシャルワーカー(必須の労働者)」となると、状況は変化した。ターゲットが7月、最低時給額を2ドル引き上げて15ドルとすると、ベスト・バイとウォルマートもこれに追従。ウォルマートはさらに、一部の店長の時給を最大30ドルにまで引き上げた。さらにその後も、各種ボーナスや有給傷病休暇、安全対策の強化といった待遇改善が続いた。
小売労働者に対する敬意と需要が、賃金の上昇につながったのだ。だがさらに重要なこととして、21世紀型の小売店を運営するためには、十分な訓練を受け、マルチタスクができる従業員が必要とされている。ベスト・バイのコリー・バリー最高経営責任者(CEO)は「われわれの従業員は、顧客のニーズを満たせるよう進化する必要がある」と語る。
結果、今年の「ジャスト100」ランキングでは、15位のターゲットを筆頭に、実店舗を展開する小売企業5社が初登場を果たした。ターゲットのブライアン・コーネルCEOはフォーブスのインタビューに対し、「必要不可欠な事業を展開する企業として米国の面倒を見ることになったわれわれは、まず自社の従業員の面倒をみなければならなかった」と語っている。
以下は、今年の「ジャスト100」ランキングで上位10位に入った企業。ランキングはジャスト・キャピタルが11万人以上を対象に行ったアンケートの結果を基に作成した。
1位 マイクロソフト
2位 エヌビディア
3位 アップル
4位 インテル
5位 アルファベット
6位 JPモルガン・チェース
7位 セールスフォース・ドットコム
8位 AT&T
9位 シスコ・システムズ
10位 アドビ