「助けて」と言っていい。できない自分を認めたら、周りに頼れるようになるから




復職後は人事・労務にキャリアチェンジをしたのですが、育児と仕事の両立は思っていたよりも、簡単ではありませんでした。

子どもが熱を出して保育園からの呼び出しが続くと、「職場に迷惑を掛けてしまっているのでは......」と、どこかセンシティブになってしまって。

気持ちが不安定だと、ミスも起きやすいもので、罪悪感を抱えながら業務をすることで、ミスがミスを呼ぶ日々が訪れてしまいました。

ミスをした申し訳なさを引きずって再度ミスをしてしまう......といった負のスパイラル。同僚から何かを言われたわけでもないのに、「言い訳せずに自分も頑張らないと」という気負いが空回りしてしまって。

そうした日々が続き、どんどん苦しくなってしまって、「いったん仕事から離れよう」と退職を決めました。

「できない」「助けてほしい」が言えたら、楽になった


退職したものの、専業主婦を続けるイメージは湧かなかったため、仕事は続けようとは思っていました。人事を経験したことで、バックオフィスの方たちがエンパワーメントされて、結果的に会社全体の働きやすさが向上するような事業に興味を持つようになりましたね。

転職活動を進める中、エージェントから紹介されたのが、ここ、OKANでした。

働く人のライフスタイルを豊かにするために、働きにくさの要因を突き止め、最適な解決策を提供している企業。そう聞いて、希望に近そうだと思いました。

とはいえ、前職で育児と仕事の両立ができなかった記憶は正直、拭えていませんでした。

「同じことを繰り返してしまったらどうしよう」という不安も大きかった。けれど、面談でお話させていただいた女性が、仕事にやりがいを感じており、会社の未来についても熱く語ってくれて。疲弊せず、イキイキと働いている方の姿を間近で見たから、安心して入社を決意できました。

転職後、意識していたことが二つあります。

ひとつは、まずは成果を出して、「この業務は手塚に任せよう」という得意分野を作ること。もうひとつは、現在のやり方を認めた上で、より良くなるための改善案を提案すること。

どんなオペレーションも、先輩方が会社にとって最適な形に作り上げてきたもの。それに敬意を払いつつ、業務効率化のための提案をすることに努めました。

そうして新しい環境で働く中で、ひとつ、自分に大きな変化がありました。

それは、「できない」「助けてほしい」が言えるようになったこと。

今までは、弱音を吐くのが怖かった。「仕事ができなければ、必要とされない」という意識が強すぎた。“仕事と育児を両立させるすごい人”になりたいのに、理想とは程遠い自分の姿を突き付けられては、自己嫌悪になってしまっていました。

けれど、あるとき、周りに支えてもらいながら、大きな仕事をやり切る経験ができて。一人じゃ何もできないと実感するとともに、サポートしてもらうことで、自分のキャパシティを超えるアウトプットが出せるのだと知りました。

それ以来、できない自分を受け入れられるようになり、頼ることに罪悪感を抱かなくなったのです。

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文=倉本祐美加 写真=曽川拓哉

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