ビジネス

2020.10.17

極右排除で独自路線貫くユーチューブの「アルゴリズム戦略」

ユーチューブCEOのスーザン・ウォシッキー(Photo by Matt Winkelmeyer/Getty Images for WIRED25 )

ユーチューブCEOのスーザン・ウォシッキーは10月12日のインタビューで、極右系の陰謀論を唱える「Qアノン」の投稿を注視しているが、フェイスブックが10月6日に発表したような、全面的な排除措置は行わないと述べた。

CNNのPoppy Harlowが司会を務めるポッドキャスト番組Boss Filesに出演したウォシッキーは、ユーチューブがQアノンを注視しており、既に様々な施策によって対策を講じていると述べた。

その結果、グーグル傘下のユーチューブは、Qアノンの投稿のうちヘイトやハラスメントなどの明白なポリシー違反のものだけを削除し、グレーゾーンに位置するコンテンツは、そのままにしているとウォシッキーは話した。

ユーチューブはその後、15日にQアノン対策を強化し、陰謀論との関わりをほのめかし、誰かを脅迫したり、嫌がらせをするコンテンツの投稿も禁止すると発表した。しかし、同社はフェイスブックのようにアカウント自体の停止措置は行っていない。

ユーチューブの取り組みは、フェイスブックと比べると穏やかなアプローチと言えるが、ウォシッキーはその理由について次のように述べた。「当社はポリシーの見直しによって問題に対処しようとしている。ユーチューブのプラットフォームは、フェイスブックとは大きく異なっている。各社がそれぞれのプラットフォームに沿ったやり方で、問題に対処すべきだと考えている」

ユーチューブは以前、アルゴリズムの調整によってQアノン関連のチャンネルへの誘導数を、80%抑制出来たとアナウンスしていた。同社はまた2018年以降に、数万件のQアノン関連の動画を削除し、ヘイトやハラスメント投稿を行うQアノン関連チャンネルを閉鎖したと述べていた。

「私の考えでは、全てのポリシーは明確である必要がある。Qアノン関連の投稿をひと括りに考えるのではなく、何が問題なのかを定義せねばならない。そのためには、常にポリシーの見直しを続けていく必要がある」とウォシッキーは話していた。

2017年に始動したQアノンの主張


Qアノンのルーツは、2017年10月に匿名掲示板の「4chan」にQを名乗るユーザーが連続投稿を行ったことが始まりされている。Qアノン支持者の多くは熱狂的なトランプファンで、彼らの敵対勢力である「ディープステート」が、陰謀を画策していると信じている。彼らによると、リベラル派勢力は、国際的な児童買春組織や悪魔崇拝と関わりを持ち、政府を転覆させようとしているが、トランプは彼らと秘密の戦争を繰り広げているのだという。

フェイスブックと同社傘下のインスタグラムは先週から、Qアノン関連の投稿やアカウントを全面的に禁止した。ツイッターも今年7月にQアノンの投稿の表示を抑える措置をとり、トレンドから排除していた。

しかし、Qアノンの支持者らは#SaveTheChildren(子どもたちを守れ)などの、一見無害なハッシュタグで投稿を拡散するため、彼らを完全に排除することは難しい。Qアノンは現在もツイッター上で勢力を誇っている。

編集=上田裕資

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