ビジネス

2021.01.12 10:00

機内でも「クッション言葉」で悩殺|元ファーストクラスCAに聞く一流の共通点 #2


「後でいいので」というと対応が遅れる?


何かリクエストがある際に「後でいいので」「お手隙の際に」と添えるのもクッション言葉です。

このような言葉を添えると、持ってくるのが遅くなるのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、サービスする側の心境としては、このように言われたからといって、優先度が下がることはありません。むしろ、「少しでも早くお持ちしたい」と思ってしまうのが人間の心理ではないでしょうか。

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忙しいとつい用件のみ伝えてしまいがちですが、クッション言葉を添えるのに必要なのはほんの数秒。「新聞!」と命令口調で頼まれるのと、「お手隙の時でいいので新聞いただけますか」とクッション言葉を添えて頼まれるのとでは、同じことを伝えているのでも受け取る側には天と地の差があります。

そして、こちらを気づかってくださる気持ちが伝わってくると、やらされている感がなくなり、行動も自発的になります。

つまり、クッション言葉は相手を気づかう言葉で、このクッション言葉のバリエーションをたくさん持っていると、コミュニケーションがとてもスムーズになると言えます。

上級者向け!一生忘れられない人になる「太陽フレーズ」とは?


コミュニケーションをスムーズにしてくれる潤滑油のような存在がクッション言葉とすると、さらに相手の心に深く印象を残すのが「太陽フレーズ」というものです。

CA達の間で忘れられないお客様とのエピソードの話をしていると共通しているのがこの「太陽フレーズ」。「太陽フレーズ」とは私が命名したものですが、相手の不安や緊張を解きほぐす太陽のようなフレーズによって、疑いの念なく素直に言葉を受け取れるようになるものです。

例えば、「お食事の選択肢がなくなってしまい、お肉希望だったお客様にお魚をお出しすることになったときのこと。食器を下げる際に再度謝罪したところ『すごく美味しかったからこっちにして正解だったよ』と言ってくださり、とても安心しました」というエピソードがあります。

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このとき、もし「大丈夫ですよ」と言っていただけたとしても、CAの心のなかでは、「本心では大丈夫と思っていないのではないか」「ご希望に添えず申し訳なかった」など、不安やモヤモヤが残ってしまっていたはずです。しかしこのような「太陽フレーズ」を添えてくださったことで、CAは晴れ晴れした心になることができたのです。

同じような例で、お客様にベリーニ(シャンパンベースの桃のカクテル)を頼まれたのに、誤ってミモザ(シャンパンベースのオレンジのカクテル)をお出ししてしまったときのこと。お客様はその場では何も言わずにお飲みになっていたのですが、CAがあとから間違いに気づき謝罪に行ったところ、「あ、そういえばそうだったね。でもどっちにしようか迷ってたし、とても美味しかったからこっちでよかったよ。ありがとう」と言ってくださったという話もあります。
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文=清水裕美子 編集=石井節子 サムネイルデザイン=高田尚弥

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