ビジネス

2021.01.05

「スマートにクレームする」4つの手法|元ファーストクラスCAに聞く一流の共通点 #1

連載「元ファーストクラスCAに聞く一流の共通点」


ほかにも、お食事サービス中、お客様のワイングラスが空になっていることに気づいても、忙しくてすぐに行けないような時、「グラスが空いているのにCAが来ない」とクレームを言うのではなく、不機嫌になることなくフラットに「お代わりください」と伝えてくださるようというのもこの例です。

2. 相手を否定せず意見を求める 「クエスチョン法」


真っ向から「間違ってますよ」と言うのではなく、「いつもと違うけど、変わったんですか?」というように、「私が知らないだけかもしれないので教えてください」というスタンスで聞くのが「クエスチョン法」です。

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本当に相手の不手際ではなくシステムが変わったというようなケースもあるので、そのような場合にも恥をかかなくてすみます。

機内販売で希望の品が売り切れてしまったときに、文句を言う代わりに「ほかに同じくらいの予算でお土産になるようないいものないかな?」と相談ベースで聞いてくださるお客様もいらっしゃいます。ご希望を詳しくお伺いして相談にのった結果、もともと買う予定だったものよりも満足のいくものが見つかったというケースも少なくありません。思いがけないいい結果につながるのもこの手法のポイントです。

3. 相手の失敗をさりげなく気づかせる上級の配慮「シグナル法」


次は、ダイレクトに伝えるのではなく、相手に自ら気づいてもらえるように仕向ける「シグナル法」です。

CAの体験談でこのようなものがあります。

「ファーストクラスでシャンパンを誤ってワイングラスに入れて持って行ってしまったとき、『あれ?』と不思議そうな表情をされ、私が新人だったからか、『あれあれ?(これってシャンパングラスだっけ?)』とユーモアのある表情で私にミスを気づかせてくれたお客様がいらっしゃいました」

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「食事中、バスケットにパンを入れて持ち回りをしていたとき、同じパンを2度目に食べたお客様に『最初のパン、すごく美味しかったよ』と笑顔で言われました。そのときふと、持ち回りしているうちにパンが冷めてしまったのではないかと気づき、急いでキッチンに戻り確かめてみると、やはりパンが冷めて固くなっていました」

どちらも、クレームになってもおかしくないような状況にもかかわらず、それを責めるのではなく相手が自ら学びを得るようにさりげなくシグナルを出してくださっているという点で共通しています。
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文=清水裕美子 編集=石井節子 サムネイルデザイン=高田尚弥

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