著書『ファーストクラスCAの心をつかんだマナーを超えた「気くばり」』も上梓した清水氏に、機内でのさまざまなクレーム体験からも学んだ「ネガティブにならない、要望のスマートな伝え方」に関して以下ご寄稿いただいた。
クレームと思われずスマートに意見を伝える4つの手法
仕事でもプライベートでも、ついクレームをしたくなってしまうような場面に出くわすことは、誰しもあるはずです。
そんな時こそ、人としての真価が問われるのではないでしょうか。
日本人は場を荒げたくないという思いからつい我慢してしまうことも多いですが、心のなかで疑問やモヤモヤを抱えたまま家まで持ち帰ってしまうと、あとあと怒りの感情が大きくなり、爆発して、結局、手間隙かかる大きなクレームに発展することも。精神衛生上もよいとはいえません。
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特殊な環境で不測の事態が発生することも多い機内では、さまざまなクレームの場面に出くわすことがありますが、そんな中、とてもスマートだと感動を覚えるのが、相手にクレームだと思わせることなく、上手に自分の意見や要望を伝えるお客様。
ここでは、CAがさすがだと感じた、自分が我慢することなく、相手に嫌な思いをさせることもなく意見を伝える4つの手法を、実例を交えてご紹介いたします。
1. そよ風のようにサラッと軽やかに伝える 「そよ風法」
まずは、疑問に思ったことやモヤモヤすることを、その場でサラッと伝える「そよ風法」 です。もっとも頻度が高く、自然に使われているものです。
ある外資系エアラインCAの体験談で、このようなものがあります。
「多くのエアラインではビジネスクラスのアメニティとしてスリッパが用意されていると思うのですが、私が勤務していたエアラインではビジネスクラスにスリッパの用意がありませんでした。あるスポーツ選手が乗られた際、スリッパを頼まれたのですが、ない旨をお伝えすると『そうなんだ!びっくり!』と、驚いたことは素直に表現しつつも、嫌な顔をすることなくサラリと返してくださいました」
普通はなかなか伝えにくいマイナスのことでも、余計な感情をのせずに軽やかに伝えることで、そよ風のようにサラッと軽やかに過ぎ去っていき、相手にも嫌な印象を残しません。
化粧室が汚れていた際に「汚れてたよ!」とサラッと伝えてくださったり、 CAの歯に口紅が付いていたときにご自身の歯をポンポンと指さして伝えてくださったという事例もあります。
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