ビジネス

2020.10.26 07:00

グーグルが描く日本の未来図。カギはスタートアップエコシステムにあり


「グーグルが拠点を置く判断は、ふたつ。エコシステムの大きさではなく、どれくらいのポテンシャルを秘めているか。またエコシステムに対してグーグルがどれだけ貢献できるかで決定します。

日本では評価額が100億円を超えたスタートアップが63社まで増えている状況。最近ではグローバルマインドを持ちサービスの世界展開を構想するファウンダーや、小規模ながらクリエティブなスタートアップも増えている。その割に米中に比べるとまだまだ市場が小さいので、非常に大きな成長の余地があると感じています」

グーグルではどんなスタートアップの登場を期待するのか──。最後にそんな問いを投げかけてみた。すると、Romero氏からは少し意外な返事が返ってきた。

医療や高齢者ケア、IoT、コア技術を保有する大学発のベンチャーといった産業分野は、一般的に日本で成長すると期待されているが、究極的には「どのようなテクノロジーが社会にとって必要になるかは分からない」というのだ。そして「だからこそ、スタートアップ・エコシステムの発展が必須だ」とも。

「コロナ禍の中で世界のリモートワークを支えるため、チャットやオンラインビデオ会議システムのサービスが急成長しました。また遠隔医療サービスを提供する企業の成長が著しい。ポイントは、パンデミック後に彼らが製品やサービスをつくった訳ではなく、もともと市場で提供されていたということです。変化が急速に起こる時代になると、どんなテクノロジーやソリューションが必要になるのか1社だけでは見抜けません。

しかし、スタートアップはありとあらゆるソリューションを検討している。ヘルシーなエコシステムがあれば、社会が必要となった時にさまざまなテクノロジーを引っ張り出して使うことができます。それが最終的に日本社会の課題解決にも役立つでしょう。そして我々は、変化に対応し素早く成長したいファウンダーの方々を、エコシステムという視点から支援していきたい」

Romero氏が言う「ヘルシーなスタートアップ・エコシステム」とは、すなわちドラえもんの四次元ポケットのようなイメージだろうか。日本の課題解決を担うスタートアップの登場、そしてグーグルが築こうとしているスタートアップ・エコシステムの未来に引き続き注目していきたい。

文=河鐘基

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