米国では毎年どれくらいの人がインフルエンザで死亡しているのか

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米国がインフルエンザの季節に突入しつつあるのに伴い、ソーシャルメディア上では、インフルエンザのほうが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)よりも致死率が高いか否かをめぐる不毛で醜い論争が、すでにその頭をもたげている。

10月6日にはドナルド・トランプ大統領が、毎年インフルエンザで多くの人が死亡し、「時には10万人を超える」とツイートした。その主張はすぐに虚偽であることが暴かれ、ツイッターは、大統領のツイートを隠し、「誤解と被害を招きかねず、新型コロナウイルス関連情報の拡散に関する同社のルールに違反している」と明示するタグをつけた。

米国では10月7日までに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによっておよそ21万1000人の命が失われた。この数は、冬季にも着実に増えつづけると予想されている。では、大統領の発言はどれくらい誤っているのだろうか? 米国では実際のところ、インフルエンザで毎年どれくらいの人が死亡しているのだろうか?

季節性のインフルエンザウイルスは1年を通じて米国で検出されているが、秋と冬の時期に最も猛威を振るい、12月から2月にかけてピークに達する。

米疾病予防管理センター(CDC)によれば、2019年から2020年のシーズンには2回にわたる流行の波が見られ、重症化のレベルは中程度だったという。3800万人が罹患し、1800万人が医療施設で診察を受け、40万人が入院し、2万2000人が死亡した。とはいうものの、すべての人がインフルエンザと診断されるわけではなく、症例数/死亡者数は常に公式の合計から欠落するため、症例数は増える傾向がある。

CDCによる数字は、トランプ大統領がツイッター上で述べた人数と比べて大幅に少ない。過去10年で見ると、最も死者の多かったインフルエンザ・シーズンでさえ、死者数は大統領の主張と比べて大幅に少ない。CDCの推計によれば、過去10年で死者が最も多かったのは、2017年から2018年にかけてのシーズンの6万1000人だという。

シーズンごとに見た、米国のインフルエンザによる推定死者数(シーズン/推定死者数)*

・2019-2020/22000
・2018-2019/34000
・2017-2018/61000
・2016-2017/38000
・2015-2016/23000
・2014-2015/51000
・2013-2014/38000
・2012-2013/43000

*2017-2018、2018-2019、2019-2020シーズンは予備的なデータによる

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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