ビジネス

2020.10.14

顧客コミュニケーションのTwilioがデータ企業Segmentを3400億円で買収

TwilioのCEOであるジェフ・ローソン(Photo by Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

クラウドコンピューティングの「Twilio(トゥイリオ)」が、顧客データインフラストラクチャーを手がける「Segment(セグメント)」を約32億ドル(約3400億円)で買収することが明らかになった。

サンフランシスコ本拠のTwilioは10月12日、Segmentの買収に向けた正式契約を締結したとアナウンスした。買収は株式交換によって実施され、その手続きはTwilioの第四半期のうちに完了する予定だ。

フォーブスは11日の夜に、TwilioのCEOであるジェフ・ローソンと、SegmentのCEOのピーター・ラインハルトを交えた合同インタビューを実施した。Twilioのローソンは今回の買収が、企業の顧客とのコミュニケーションを次世代にふさわしい形に進化させるものになると述べた。

「コミュニケーションはこれまで、顧客エンゲージメントのための包括的プラットフォームであるTwilioにとって、入り口に過ぎなかった。Twilioに欠けていたのは、エンドユーザーを理解することだ。当社はコミュニケーションを強化しているが、実際には顧客が誰なのかを把握していない」と、ローソンは話した。

2011年創業のSegmentは、CDP(顧客データプラットフォーム)をリードするスタートアップとして頭角を現し、直近の調達ラウンドでの企業価値は15億ドルとされていた。

Segmentは今後、Twilioの一部門となり、CEOのラインハルトはローソンの直属の部下となる。Segmentの機能は時間をかけてTwilioに統合されていく。「買収によって、当社のビジョンの実現が5年から10年、前倒しで達成されることになる」とラインハルトはフォーブスの取材に述べた。

Segmentの売上は非公開だが、既に2万人の顧客を抱えており、サブスクリプション売上の非GAAP総利益率は75%以上に達しているという。RBC Capital MarketsのアナリストのAlex Zukinは11日、Segmentの年間経常収益が年末までに約1億ドルに達すると予測した。

自身も開発者であるローソンは、2012年にY コンビネータのニュースサイトHacker Newsに投稿された記事でSegmentを知り、知人の紹介でラインハルトと夕食を共にした。

コールセンター業務の効率化などを期待


ローソンは、Segmentが複数のデータソースを分析し、顧客を集中的に理解している点に魅力を感じたという。彼によると、Segmentの買収によって、Twilioはコールセンターなどの業務を大きく効率化できるようになるという。

コールセンターに顧客が電話をかけた場合、担当者は関連する履歴を調べるのに数分もかかる場合もあるが、Segmentの仕組みを取り入れたTwilioのソリューションは、顧客がいつ何を購入したのか、メールやテキストなどのどのチャネルでのやり取りを好むのかを、迅速に把握可能になる。

ローソンは特定の顧客の名をあげることは避けたが、今後の成長分野としては機械学習を利用して、どの顧客にいつ、どのような方法で新しいオファーを提供するかを予測するセールスアクセラレーションのカテゴリが期待できると述べた。

Twilioの株価は合併の報せを受けて、12日早朝の時間外取り引きで7%以上の上昇となった。

「B2C領域においては多くの企業が、未整備なテクノロジーの有効活用に悩んでいる。信じがたいことに、企業がその事業の在り方を、ソフトウェアにふさわしい形に変えるような動きすら起きている。我々は、この流れを逆転させようとしている」とローソンは話した。

編集=上田裕資

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