経済・社会

2020.10.15 08:30

「本当にすごい公務員」は何を実現したのか 圧倒的な成果を生んだ13人

metamorworks/Shutterstock.com


静岡県立掛川西高等学校の吉川牧人は、既存の枠組みを超えて教育にチャレンジ。地域や世界と高校生をつないで3年間で7回の掛川城プロジェクションマッピングを実施し、「ICT夢コンテスト2018」で文部科学大臣賞(地域)を受賞。食物研究部の高校生と地元スーパーをコラボさせて「静岡丼」を共同開発。日本中のプロが集まるデリカテッセン・トレードショー2020で、応募総数5000品の丼部門の中から最優秀賞に選ばれた。
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掛川城プロジェクションマッピングの様子

福岡県の北九州市立菅生中学校の小川亮は、障害のある子どもたちの自立と社会参加に向けた取組み「econnect project」を独自に立ち上げた。国際機関、地域社会、教育、NPO・NGO、行政、企業の6つの関係機関と連携・協働し、現在「被災地支援」「社会貢献」「日米交流」の3つの分野で21のプロジェクト、30の活動に取り組んでいる。日本国内で10つの賞を受賞すると同時に、グルーバルな活躍も続けている。

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九州北部豪雨被災地支援間伐材箸づくり体験(右=小川さん)
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給食という切り口で「VOTE FOR賞」とのW受賞を果たしたのは、静岡県袋井市の石塚浩司だ。自らが週3回の人工透析を受け、健康の価値を人一倍知る石塚は、生産者との調整を前進させ、大きく地産地消率を高めた。

給食で使用する主要10品目で、重量ベースで2012年に13.8%だったものが、2019年には43.3%へと地産地消率を伸ばした。また児童の野菜摂取量を20%増加させるなどさまざまな功績が認められ、2018年WHO「ベストプラクティス賞」、2019年文部科学省「学校給食表彰」を受賞している。

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袋井市の石塚浩司さん

最後の1人として紹介するのは、沖縄県の中央児童相談所に勤める森田修平だ。沖縄から児童虐待をなくしたいと本気で考えた末に、業務としてできないことを業務外のプライベートで実行。2017年に「沖縄の子どもと家族・支援者の未来を明るくする会(OCFS)」を立ち上げた。

また森田は、福祉と教育の連携を図るため、業務時間外に福祉教育合同バスツアーを企画。市町村や県の児童福祉職員と教職員で、児童相談所・児童自立支援施設・児童養護施設・児童心理治療施設・少年鑑別所を視察。

その強い想いに沖縄県浦添市長も賛同し、2018年度と2019年度に浦添市役所にて「地域円卓会議」を開催。市長、中学校長、大学教授、記者らが有志で登壇し、計120人の参加者が児童虐待をなくすために各自ができることを考えた。

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福祉×教育合同バスツアーの様子(右=森田さん)


今年のアワードでは多くの受賞者が民間との連携によって大きな成果を上げている。「Forbes JAPAN」は活躍するビジネスパーソンが読者であるが、そんな優れたビジネスパーソンから公務員への関心が少しでも高まり、新たな連携が生まれることを願う。

紹介した13人はもちろん多大なる成果を上げている。しかし13名の受賞者以外にも、圧倒的な成果をあげる公務員は全国に無数に存在する。読者の皆さんのまわりで活躍する公務員に、さらに注目してもらえるならば幸甚の至りである。

連載:公務員イノベーター列伝
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文=加藤 年紀

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