「本当にすごい公務員」は何を実現したのか 圧倒的な成果を生んだ13人

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群馬県庁の宮下智は、史上初の4冠を受賞、協賛社賞として「LIFULL賞」「ジチタイワークス賞」「自治体通信賞」も獲得した。

官民連携により、活用されていなかった群馬県庁前の芝生広場でナイトマルシェを開催、県予算0円ながら約1000人を集めた。

仲間と任意団体を立ち上げ、さまざまな年代が集まるマルシェのイベントを20回以上も開催。さらに公営競技である伊勢崎オートレースを盛り上げる任意団体の代表としても活動し、全国から3000人以上の集客につなげた。

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群馬県庁前の芝生広場で行われたナイトマルシェ

成果を上げたのは「地道な努力」


「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード」の大きな特徴の1つが、地道に成果を上げる地方公務員を表彰していくことだ。派手でわかりやすい活動に光が当たるなかで、地道な努力から高い成果をあげる公務員の存在にも注目したい。

岡山県備前市の同前嘉浩は、地域の住民と連携、下水道課へ配属後のわずか3年間で事業費を約20億円削減という圧巻の成果をあげた。赴任後に徹底的に課題を分析し、どんな手を打てば事業費を抑制できるか考え抜いて実現させた。

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備前市の空手大会を4連覇する同前さん。過去に日本一も経験している。

同じく岡山県の倉敷市職員である牧野浩樹は、税金の滞納者から1年間で1億7000万円もの債権を回収した。公務員が同業務を行う際には心ない言葉をかけられることもある。そういったことにも怯まず、しかし、真摯かつ柔和に住民との信頼を育んだ。

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多彩な牧野さんは西日本豪雨災害で落語会を開催、その後チャリティ落語会を運営し、売上は全て災害義援金へと寄付

大阪府東大阪市の辻双九は、東大阪市のものづくり企業と医療関係者の橋渡しによって企業支援を実現。コロナ禍でデジタル対応を進め、「オンライン」でのマッチング商談会を開催。製造企業と担当教授をつなぎ、大阪大学のフェイスシールドの製作プロジェクトをサポートした。

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大阪大学大学院医学系研究科で特注治具の打ち合わせをする辻双九さん(左から2人目) 写真提供:東大阪経済新聞

岐阜県中津川市の柘植良吾は、経路検索事業者と交通事業者との間でバス情報を受け渡すための共通フォーマットに基づくデータを作成し、グーグル・マップ等にバス情報を掲載した。

これによって、都市部の学生や外国人観光客が中津川市に訪れるようになるなど、バス利用者の利便性が向上。さまざまな地域公共交通施策を進めた実績から、「中部運輸局局長表彰」、総務省ICT地域活性化大賞「優秀賞」を受賞。アワードでは、「NECソリューションイノベータ賞」も獲得した。

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中津川市の柘植良吾さん

公教育・児童支援でも光る個性


今年はこどもの支援や教育に関わる受賞者が特に際立った。SDGsの「質の高い教育をみんなに」というゴールにおいて日本は高い評価を獲得しているが、公教育の現場にもユニークな公務員が現れている。

兵庫県の神戸市立桃山台中学校の校長、福本靖は、多くの保護者が「引き受けたくない」と考えるPTAの改革を断行。役員の負担を削減するために、広報紙の廃刊や専門委員会の廃止を進めた。学校現場でタブー視されがちな保護者との意見交換もいとわず、保護者の意見に耳を傾け、信頼を得た。
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文=加藤 年紀

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